Donald Byrd Black Byrd [CD]
デトロイト市出身のジャズ・トランペット奏者のドナルド・バード、リーダーとしてブルーノートレーベルを中心に数多くのアルバムを残し、リーダー作品の他にサイドメンとしての録音も多く、共演したミュージシャンはホレス・シルヴァー、ジョン・コルトレーン、ジャッキー・マクリーン、ソニー・クラーク、ソニー・ロリンズ、ハンク・モブレー、ハービー・ハンコック、セロニアス・モンクなど多岐にわたる。60年代に入ると実験的な作品も残し、大胆にゴスペル色を取り込んだコーラスを導入し、ジャズとの融合を試みた。70年代にはいち早くファンクやロック・スタイルを取り入れたのが、マイゼル兄弟のプロデュースによるアルバム「Black Byrd」で、73年にリリース、フュージョン・ミュージックの先駆けとも言われ、新しい感覚と古い感覚の混ざったアレンジが聴け、ドナルド・バードの暖か味のあるトランペットのサウンドを中心に仕上がっているのが特長のアルバム、ブルーノートレーベル最大のヒット・アルバムとなった。マイゼル兄弟とドナルド・バードによる「Where are we going?」は名曲と言われている。
6年前に未発表曲だったマーヴィン・ゲイとマイゼル兄弟のコラボによる「Where are we going?」が発表された、シビレました。
「Black Byrd」
「Flight Time」
「Where are we going?」
おまけでマーヴィン・ゲイとマイゼル兄弟のコラボによる「Where are we going?」
Ronnie Foster Cheshire Cat [CD]
多くのアーティストから信頼されるファンキーなキーボード奏者のロニー・フォスター、「On the Avenue」と「Love Satellite」に続くサード・アルバム「Cheshire Cat」は75年にリリースされた。この頃にジョージ・ベンソンのバンドのメンバーになったロニー・フォスターはジョージ・ベンソンの片腕として活躍、その為ジョージ・ベンソンがこのアルバムのプロデュースをしている。ロニーはキーボードだけでなく、すべてのアレンジをおこなうとともにソウルフルなボーカルも披露し、乗りの良いファンク・カラーにまとめ上げたアルバムで、心地よいメロウ・ファンク・フュージョン作品。「Like A Child」や「Fly Away」やロイ・エアーズのカヴァー「Funky Motion」ではこの時代のブルー・ノートらしい洗練されたフリー・ソウルのボーカル・ナンバーを聴かせてくれる。やはりロニー・フォスターの本職はキーボード奏者、どの曲でもシンセやオルガン、ローズピアノなどの素晴らしいソロを聴かせてくれる、特にスティーヴィ・ワンダー作の「Tuesday Heartbreak」でのオルガンのプレイは流石といえる。参加メンバーは、ロニー・フォスター(key, vo, arr) ジョー・ベック(g) ゲイリー・キング(el-b) ウィリアム・アレン(b) デニス・デイヴィス(ds) ムトゥーメ(cga, per) ジョージ・ベンソン(produce, g, background vo)。この後にジョージ・ベンソンのアルバム「Breezin'」 (76年)「In Flight」 (77年)「Livin' Inside Your Love 」(79年)「Weekend L.A.」(77年)でもロニー・フォスターの素晴らしいキーボード・プレイが聴ける。一年ほど前に紹介した、村田和人のアルバム「Showdown」はロニー・フォスターがプロデュースとアレンジを担当している。
「Like A Child」
「Fly Away」
「Tuesday Heartbreak」
「Funky Motion」
Soulive live Turn It Out [CD]
ソウライヴは、アメリカ、ニューヨーク州ウッドストック出身の、エリック・クライズノー(ギター)、アラン・エヴァンス(ドラム)、ニール・エヴァンス(キーボード)によるジャズ・ファンク・バンドで、99年にリリースされたセカンド・アルバム「Turn It Out」がヒットしジャズ・ファンクシーンの台頭に躍り出る事になります。このアルバムにはギタリストのジョン・スコフィールドやサックソフォニストのサム・キニンジャー、ベーシストのオテイル・バーブリッジが参加。アルバムの曲はスティーヴィー・ワンダーの「Jesus Children」を除いてすべてオリジナルで、グループのメンバー3人全員によって書かれたか、または個別に書かれました。収録された曲のうち4曲はライブで録音されたもので、ライブ・バンドらしい選曲でした。ニール・エヴァンスはこれまでジミー・スミス、ジャック・マクダフ、ラリー・ヤング、ジミー・マクグリフらのオルガニストとも異なる独特のスタイルで、特にベース・レスを補うためにファンキーな左手のベースラインの重低音ベースの独特のリズム・アプローチが特長でした。ジャム・バンドという概念が最もわかりやすい形で提示されているのがこのアルバム「Turn It Out」です。
「Steppin' 」
「Tabasco」
「Ruby's Way」
「Jesus Children (live)」
「Nealization」
Roy Ayers Ubiquity Mystic Voyage [CD]
ロイ・エアーズはアメリカのジャズ・ミュージシャン、ヴィブラフォン奏者。 自身のバンド、ユビキティと共にジャズとファンクを融合させた音楽ジャズ・ファンクを生み出す。その洗練された独自性はアシッドジャズやレア・グルーヴ、ヒップホップに関わる人々に再評価され、多くのラッパーの楽曲にサンプリングされている。このアルバム「Mystic Voyage」は75年にリリースされ、ジャズのフィーリングを残しつつも、当時の最新のソウルやディスコの要素を大胆に取り入れて、よりグルーブのあるサウンドへとなっている。タイトル曲の「Mystic Voyage」ではロイ・エアーズの得意であるヴィブラフォンによる透明感のあるメロウ・サウンドも聴かせてくれる。様々な音楽性を聴かせてくれるアルバムで、70年代のロイ・エアーズの傑作アルバムの一つである。
「Brother Green (The Disco King)」
「A Wee Bit」
「Mystic Voyage」
「Evolution」
The Ramsey Lewis Trio Another Voyage [CD]
ラムゼイ・ルイスは50年以上にわたりコンテンポラリー・ジャズ・ムーブメントの象徴的なリーダーであり、忘れられないサウンドと社交的な個性を持ち、いくつもの曲がポップスやR&Bチャートに入り、数え切れないほどのアーティストと力を合わせ、新しく革新的な音楽を創造してきました。このアルバム「Another Voyage」は、ロータリー・コネクションやミニー・リパートン、ザ・デルズ、マリーナ・ショウのプロデュース、EW&Fのキャリアを成功に導いた名アレンジャー、チャールズ・ステップニーのバックアップの元にシカゴのスタジオでレコーディングされ、チャールズ・ステップニーらしいソリッドなビートと華麗なメロディのサウンドを展開する初期のプロデュース・ワークを象徴するアルバムで、フェンダー・ローズをいち早くジャズの世界に持ちこんだという点でも注目したい作品で、ラムゼイ・ルイス・トリオによる名盤の一つ、69年にリリースされました。この時のラムゼイ・ルイス・トリオのメンバーはピアノ、キーボードにラムゼイ・ルイス、ベースにカウント・ベイシー・オーケストラでも活躍したクリーブランド・イートン 、ドラムにこの後にEW&Fの創設者でリーダーのモーリス・ホワイトの3人のトリオで、この頃になるとスタンダードなジャズを抜け、ポップでファンキーな作風となり、モーリス・ホワイトによるメリハリの効いたファンキーでソウルフルなリズムのドラムとラムゼイ・ルイスらしいシカゴ出身のソウルフルなメロディ・ラインがハッキリした際立ったサウンドとなり、素晴らしい内容になっています。モーリス・ホワイトのカリンバがフィーチャーされた「Uhuru」スティーヴィーワンダーのカヴァー「My Cherie Amour」シカゴの名ギターリスト、フィルアップ・チャーチが参加した「Bold And Black」などが入っているアルバムです。
「Do What You Wanna」
「Bold And Black」
「Uhuru」
「My Cherie Amour」
Hummingbird [CD]
ハミングバードは、74年に元ジェフ・ベック・グループのボビー・テンチによって結成されたイギリスのロックバンドです。プロデューサーはイアン・サムウェル、第二期ジェフ・ベック・グループのメンバーのヴォーカリストでギタリストのボビー・テンチ、キーボード奏者のマックス・ミドルトン、ベーシストのクライブ・チャマンの3人に、新しくドラマーのコンラッド・イシドールとギタリストのロバート・アフワイが参加しレコーディングに入ります、ファースト・アルバムのセッション開始時にジェフ・ベックが短期間参加したが、彼はアルバムに貢献せず、自身のプロジェクトに取り組むために去りました。自身のプロジェクトというのは「UPP」と「Blow By Bolw」の事になります、ジェフ・ベックは新しいサウンドを求めギター・インストロメンタルで大成功を収める事になるますが「UPP」はその過程として聴けば理解できるのではないかと思います。ハミングバードといえば当然セカンドアルバムの「We Cant Go on Meeting Like This (密会)」が名盤として有名ですが、今回は75年にリリースされたファースト・アルバム「Hummingbird」を紹介します。「UPP」と「Blow By Bolw」も同じ75年にリリースされていて、その関係性が当時面白かったのを思い出します。このアルバムはサウンド的には第2期ジェフ・ベック・グループそのものでしたが、ボビー・テンチのヴォーカルを前面に出したアルバムで、ヴォーカルへの興味が無くなったジェフ・ベックは去るのは当然でした。ジェフ・ベックがいないため、ある意味で良くまとまった典型的なブラコンになっていて、楽曲も演奏そのもの流石と思わせるものがあり、特にマックス・ミドルトンのエレピは素晴しく、そのプレイは名作アルバム「Blow By Bolw」でも聴けますが、マックス・ミドルトンがいなけれが名作「Blow By Bolw」が出来なかったと言われるほどでした。このアルバムでも存在感のある演奏をしています。
「Music Flowing」
「For The Children's Sake 」
「You Can Keep The Money」
「Ocean Blues」
UPP [CD]
UPPは、70年代に活躍したイギリスのロックよりのクロスオーバー・バンドである、ファースト・アルバム「UPP」は75年にリリースされた。グループはもともと3 UPPと呼ばれ、メンバーはステファン・アメージング(ベース)、アンディ・クラーク(キーボード)、ジム・コープリー(ドラム)で、オーティス・レディング、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、スティービー・ワンダー、ダニー・ハサウェイなどの演奏から大きな影響を受けているバンドでした。ジェフ・ベックは偶然隣のスタジオからUPPの演奏を聴いた事をきっかけに彼らのサウンドを気に入り、実際にこのアルバムのプロデュースを手掛け、ギター・レスの穴を埋めるべく、録音にも参加しているが、ライナーノーツには彼が演奏しているというクレジットはされていなかった。決してヴォーカルを聴かせるバンドではなく、飛びぬけた素晴らしい楽曲も無いが、ファルセットを聴かせたりと、歌入りのクロスオーバー好きには堪らない、当時としては新しいサウンドだった。一世を風靡したジェフ・ベックのギター・インストロメンタル・アルバム「Blow By Blow」への橋渡し的なアルバム。
「Bad Stuff」
「Give it to You」
「Jeff's One」
おまけで「Down In The Dirt 」UPP feat. JEFF BECKの74年のBBCの映像。
同じくUPP feat. JEFF BECKの74年のBBCの映像から「She's A Woman」。アルバム「Blow By Blow」にも入っているビートルズの名曲。
Felix Cavaliere Destiny [CD]
少し前に紹介したヤング・ラスカルズ、ラスカルズでのリード・シンガーとオルガンの活動が最も有名であるフェリックス・キャヴァリエのセカンド・アルバム「Destiny」を紹介、75年にリリースされました。ファースト・アルバムがトッド・ラングレンによるプロデュース、このアルバムはセルフ・プロデュースで作曲も全て自身で行いの自身の音楽を無理なく表現し、後期ラスカルズを彷彿させるポップ、ソウル、ファンク、ジャズを融合したサウンドは見事なものでした。ラスカルズ元メンバーのディノ・ダネリやバジー・フェイトンだけでなく東海岸の一流どろこのミュージシャン、デヴィド・サンボーン、マイケル・ブレッカー、リック・マロッタ、ウィル・リー、スティーブ・カーン、ジョー・ファレル、ジョージ・ヤングなどや、親しい友人であるロニー・ローラ、レスリー・ウエスト、フォガットのロッド・プライス、マウンテンのレスリー・ウェストらの異色の顔ぶれも参加するアルバムでした。ファルセットを織り交ぜたソウルフルでスウィートなヴォーカルとキャッチーで哀愁あふれるメロディ、ブルー・アイド・ソウルのソフィスティケイトされた都会的なグルーヴが全編を覆うサウンドの名盤です。
「Flip Flop」
「Never Felt Love Before」
「Can't Stop Loving You」
「I Can Remember」
Kokomo [CD]
ココモは、イギリスのファンク・バンドで、アヴェレイジ・ホワイト・バンドと並ぶ、70年代英国ファンクの代表的バンドの一つで、ホワイト・ファンクの草分け的バンド。ジョー・コッカーのバック・バンドとしても知られるグリース・バンドで活動していたニール・ハバードとアラン・スペナーが、混成コーラスをフューチャーしたアライヴァルというリヴァプール出身のバンドのメンバーと合流、73年に結成され、74年にはメル・コリンズ(元キング・クリムゾン)も、ほどなくココモの正式メンバーとなり、10人編成の職人集団が出来上がった。バンド名は、アレサ・フランクリンが72年に発表した楽曲「ファースト・スノウ・イン・ココモ」にちなんでいる。75年にデビュー・アルバム「Kokomo」邦題「ファンキー・マシーン★ココモ1号」をリリース。プロデュースはクリス・トーマス、ちょうどこの頃にサディスティック・ミカ・バンドの名作「黒船」も彼がプロデュースしている。75年には、ボブ・ディランのアルバム「Desire」のためのレコーディング・セッションにバンド全員が参加するが、「Desire」に収録されたのは「Romance Durango」だけで、他の5曲はアウトテイクとなった。英国産、ファンキー・メロウ路線の最重要バンド。
「Anytime」
「Forever」
「I Can Understand It」
おまけでボブ・ディランの「Romance in Durango」
Melissa Manchester Singin' [CD]
メリサ・マンチェスターはニューヨークのブロンクス生まれ。父親が名門オーケストラのファゴット奏者。幼少時にはゴスペルやクラシック、サルサなどを聴いて育ち15歳でコマーシャル・ソングの吹き込みなどプロの歌手として活動を始め、その後ニューヨーク大学の芸術学部に入学。大学ではポール・サイモンに師事し、作曲を学ぶ。グリニッチ・ヴィレッジなどのクラブで歌い始め、ベッド・ミドラーに見初められ、彼女のバック・シンガーになり、間もなくアリスタ・レコードとの契約・デビューとなる。クライブ・デイヴィスとリチャード・ベリーの売り出しで人気に火が付き、70年代から80年代にかけて、幅広い音楽性でポップシンガーとしての地位を築き、女優としても活動している。
この「Singin'」は77年にリリースされた通算6枚目のスタジオ・アルバムで、リチャード・ベリー配下のヴィニ・ポンシアが3作連続でプロデュースした3作目、それまでのアルバムは彼女の作曲が中心で、ソングライターとしての彼女にフォーカスした内容だったが、彼女の作曲は「No One's Ever Seen This Side Of Me」のみで、幅広い方面から曲がセレクトされたカヴァー曲をスティーブ・ガット、ウィル・リー、トニー・レビン、ドン・グロルニック、デヴィッド・スピノザなどのニューヨークの素晴らしいミュージシャン達が演奏し、彼女をバックアップ。シンガーとして勝負に出た彼女に光を当てた内容になっている。
「I Wanna Be Where You Are」リオン・ウェア作曲、マイケル・ジャクソン が72年に、マーヴィン・ゲイが76年に歌っているナンバー。
「A Love Of Your Own」ネッド・ドヒニー作曲、ネッド・ドヒニーとアヴェレイジ・ホワイト・バンドが76年に歌っている。
「The Warmth Of The Sun」ビーチ・ボーイズのナンバー。
「Sad Eyes」ニューヨークのギタリストで個人的に大好きなデヴィッド・スピノザが書き下ろした曲。