村田和人 Sweet Vibration [CD]
村田和人は、ビートルズやローリング・ストーンズに大きな影響を受け、ブリティッシュ・ハードロックを聴いて育つ。山下達郎らと交流を持ち、82年に「電話しても」でデビュー、山下達郎のバックコーラスを務めるなど、以降、ウェストコースト・サウンドをベースとしたシティ・ポップの担い手として認識されていく。93年に村田和人がビクターに移籍、やりたいことを、やりたいメンバーで、アレンジとプロデュースも全て自分自身が手掛け、本来の輝きを取り戻したビクターでの3作目の作品となった11枚目のアルバム「Sweet Vibration」は95年にリリースされた。日産ラルゴのCM曲「Do you wanna dance?」やTV番組「竹中直人の恋のバカンス」挿入歌「太陽の恋人」などのタイアップ楽曲も収録され相変わらずの作品クオリティを誇っている。「Cool Down」「週末はゴキゲン」では山下達郎がコーラスで参加、「週末はゴキゲン」は人気曲「WEEKEND LOVE」のアンサー・ソングである、ボーナス曲としてブルボンの期間限定CM曲で荻野目洋子とのデュエット曲「今日から始めよう」が追加収録されている。盟友・山本圭右 (g) のギターソロが映えるアルバムでもある。
「週末はゴキゲン」
「Do you wanna dance?」
「太陽の恋人」
「Cool Down」
「今日から始めよう」
二名 敦子 Naturally [CD]
大阪出身の80年代に活躍した女性シンガー・ソングライター、二名敦子。二名敦子の夏のリゾート路線から都会へとテーマの舞台を移したサード・アルバム「Naturally」は85年にリリースされた。渡辺直樹(b, v)、岡本敦男(ds)ら元スペクトラムのリズム隊に、鳥山雄司、吉川忠英、ジェイク・H・コンセプション、富樫春生等が参加。前作同様、芳野藤丸をアレンジャーに迎え、彼女の明るくポップなヴォーカルを、より高度なシティ・ポップに作り上げている。吉田美奈子、安部恭弘、村田和人、木戸やすひろ、REICO、岸正之ら作家陣も豪華。自作の「思い出に片想い」芳野藤丸の作曲「ココナツシャンプー」作詞:吉田美奈子、作曲:村田和人の「風の街角」安部恭弘の作曲「トワイライト」鳥山雄司が仕切ったポップ・ファンク「Hi-way 1」など、ヴァラエティ豊かな作品が収録されている。芳野藤丸、村田和人、植田芳晩らによるコーラス・ワークも二名敦子のヴァーカルを盛り上げている。
「ココナツシャンプー」
「風の街角」
「Hi-way 1」
「思い出に片想い」
「トワイライト」
The Doobie Brothers Livin' On The Fault Line [CD]
アルバム「Livin' on the Fault Line」はマイケル・マクドナルドが加入後の2作目で、ドゥービー・ブラザーズの7枚目のスタジオ・アルバム、77年にリリースされた。それまでのドゥービー・ブラザーズは、トム・ジョンストンというギタリストをフロントに置いた、いわばギター・バンドでした、それが、この前作のアルバムからマイケル・マクドナルドというキーボード奏者を前面に立てた体制のバンドに変わり、前作での実績をベースに、より本格的にR&B,AOR的な色合いを強めたアルバムとなります。スティーリー・ダン時代の同僚ジェフ・バクスターが先にドゥービー・ブラザーズに加入して、彼に誘われるようなかたちでマイケル・マクドナルドは、76年からドゥービー・ブラザーズに加入する事になります。ジェフ・バクスターはジャズやフュージョンのセンスを持っためちゃくちゃ上手いギタリストで、アルバム冒頭の「You're Made That Way」はマイケル・マクドナルドとジェフ・バクスターの共作、この曲は、今までのドゥービー・ブラザーズには無い曲で、エレクトリック・ピアノとクリア・トーンのギターを前面に出したサウンドは、とてもフレッシュで、元スティーリー・ダンの僚友ならではのサウンドと言ってもいいかもしれない曲で、トム・ジョンストン時代との別離を高らかに歌っています。マイケル・マクドナルドのルーツの一つであるモータウンの「Little Darling (I Need You)」は、マーヴィン・ゲイの66年のヒット曲のカヴァー、「You Belong to Me」はマイケル・マクドナルドとカーリー・サイモンの共作、「Echoes of Love」はギタリストのパトリック・シモンズの作曲で、ポンター・シスターズも取り上げている、そんなアルバム「Livin' On The Fault Line」は、決して派手ではなかったし、トップ40入りしなかった数少ないアルバムの1つでしたが、音楽的には斬新で、プログレッシヴな作品でした。トム・ジョンストンはこのアルバム録音途中に脱退します。
「You're Made That Way」
「Little Darling (I Need You)」
「You Belong to Me」
「Echoes of Love」
Everything But The Girl Eden [CD]
エヴリシング・バット・ザ・ガールは、イギリスのトレイシー・ソーンと、ベン・ワットの2人の音楽ユニットで、82年に結成された。グループ名は「女の子以外は何でも」という意味で、ハル大学の近くにあった家具や雑貨を扱う店の名前(この場合は、女の子以外は何でも売っているという意味)から取られたと言われている。84年にリリースされたデビュー・アルバム「Eden」は、UKチャート14位を記録し、「ポスト・パンクからネオ・アコースティック・ムーブメントへの道を切り開いた作品」と評されている。デビュー時はジャズやボサノヴァと取り入れたスマートなソング・ライティングからスタイル・カウンシルと比べられていた(ベン・ワットはスタイル・カウンシルのデビュー・アルバム「Cafe Blu」にギタリストとして参加している)。このアルバムで二人は、英国のジャズマンたちを従え、弾き語りだった初期のテイストを残しつつ、映画音楽・ジャズ・AORなど様々な要素を取り入れ、豊かなバンド・サウンドでヴァージョン・アップを図る。プロデューサーはロビン・ミラー、シャーデーのアルバム「Diamond Life」と共にこの「Eden」は彼の名を一躍UKのシーンに登場させました。
「Each and Every One」
「Bittersweet」
「The Spice of Life」
「I Must Confess」
松田聖子 Pineapple [CD]
『Pineapple』(パイナップル)は、松田聖子の5枚目のオリジナル・アルバム、82年にリリースされた。夏をテーマに、20歳になった松田聖子の心をストレートに表現したアルバム、81年のアルバム「Silhouette」から作詞が三浦徳子から松本隆になり、以降の松田の世界観を確立する大きな役割を担った。本アルバムでも作詞はすべて松本隆が担当しているところは前作の「風立ちぬ」と変わらないが、「風立ちぬ」ではSide A″の作曲・編曲を大瀧詠一、″Side B″の「白いパラソル」以外の編曲を鈴木茂、全曲の作詞を松本隆が行っており、細野晴臣を除く元はっぴいえんどのメンバーが強く関与していたが。本作では作曲・編曲の顔ぶれがよりバラエティ豊かになっている。作曲者を順に列挙すると、来生たかお、原田真二、財津和夫、呉田軽穂(松任谷由実)。アレンジャーは、大村雅朗、船山基紀、瀬尾一三、松任谷正隆、新川博。錚々たる顔ぶれだ。特に呉田軽穂(松任谷由実)は、松本隆が直接説得をし参加、これ以降の松田聖子の世界観をさらに広げる事となる。松田聖子は、どんな曲でも軽く打ち合わせるだけで「あ、わかりました」とその曲のキモの部分を瞬時に把握し、自分流に歌いこなしてみせた。しかもスタッフが期待する以上の水準で、前作「風立ちぬ」でも、大瀧詠一の高度な要求に応えるどころか、それ以上のパフォーマンスを見せ、大瀧詠一や松本隆に舌を巻かせた。呉田軽穂(松任谷由実)作曲によるヒット曲「赤いスイートピー」と「渚のバルコニー」も収録されているが、本アルバムはどの曲も両曲に負けない力作ぞろいだ。松原正樹 (g)高水健司 (b)伊藤広規(b)青山徹(g)安田裕美 (g)渡嘉敷祐一(dr)岡沢章(b)青山徹(g)ペッカー(per)椎名和夫(g)吉川忠英(g)松任谷正隆(key)浜口茂外也(per)島村英二(d)斉藤ノヴ (per)林立夫(dr)などの一流ミュージシャンが参加している。
「P・R・E・S・E・N・T」作曲:来生たかお 編曲:大村雅朗
「ピンクのスクーター」作曲:原田真二 編曲: 大村雅朗
「レモネードの夏」作曲:呉田軽穂 編曲:新川博
「水色の朝」作曲:財津和夫 編曲:大村雅朗
Bobby Caldwell Solid Ground [CD]
ボビー・コールドウェルは、NYのマンハッタン生まれ、マイアミ育ちのシンガー・ソングライター。幼い時からビートルズや数々のポップスの虜に、とりわけフランク・シナトラに夢中になる、さらにボズ・スキャッグスやスティーヴィー・ワンダーの影響を強く感じさせるのは変わっていない。ボビー・コールドウェルの通算6枚目となるアルバム「Solid Ground」は90年にリリースされた。カムバック後の第3弾のオリジナル・アルバムで、日本及び全米にて大ヒットした「BACK TO YOU」やジャズ・ナンバー「STUCK ON YOU」を収録、ボビー・コールドウェルらしい安定感のあるアルバムで、トロピカル色のタイトル・ナンバーの「SOLID GROUND」は余裕すら感じられる。一方でフランク・シナトラのレパートリー曲を2曲収録、この後の90年代後半のスタンダード・カヴァー・アルバムの布石も打っている。ボニー・ジェームスやナジー・ミックス、ポール・ブラウンなどの、スムーズ・ジャズ勢の参加も見逃せない。
「DON'T LEAD ME ON」
「STUCK ON YOU」
「BACK TO YOU」
「SOLID GROUND」
Mkwaju ムクワジュ・ファースト [CD]
日本を代表する作曲家、久石譲がプロデュースしたムクワジュ・アンサンブルの初作、「Mkwaju 」は81年にリリースされた。樹のうたと鼓動の、ムクワジュ・アンサンブル(Mkwaju Ensemble)は、日本のパーカッション・アンサンブルで、久石譲が、音大在学中から取り組んできた自身のミニマル・ミュージックの活動のために、79年に結成したアンサンブルグループ。マリンバとシンセを中心にパーカッションが絡んだミニマル・アートは今も新鮮に聴こえる。メンバーはマリンバ奏者、高田みどり、定成庸司、荒瀬順子、ゲストミュージシャンとしてシンセサイザープログラマーの松武秀樹、ラテンパーカッショニストのペッカーが参加し、Y.M.O.~ロジック・システムのシンセサイザー奏者にしてマニピュレーターの松武秀樹による音響も相まった和レアリック、ライヒのミニマル・ミュージックとハウス・テンポな4つ打ち、ペッカーによるアフロ・パーカッションが合いまった音、その衝撃は今も忘れられない。バンド名のMkwaju(ムクワジュ)はスワヒリ語で「タマリンドの樹」を意味する。
「Mkwaju」
「Tira-Rin」
「LEMORE」
「Pulse In My Mind」
Steely Dan Two Against Nature [CD]
スティーリー・ダンが、ツアーの再開を経て20年がたち、制作されたアルバム「Two Against Nature」は2000年にリリースされた。アメリカではプラチナ・ディスクに輝き、グラミー賞を4部門で受賞するなど、商業的にも批評的にも大成功を収めた傑作。97年から99年にかけて制作され、77年のアルバム『Aja』に収録されたジャズ・ポップの「よりジャンピーでスキビキビで、より酸っぱく、トリッキーで、落ち着きのない」反復であると称賛し、「ポストファンク」と表現した。スティーリー・ダンらしい予測不能なコード展開や半端な小節数など、以前にも増して複雑な構成だが、ツアー・メンバーの若いミュージシャンを中心とする演奏はバランスがとれており、過去の焼き直しではない別の境地を感じられる。ウォルター・ベッカーのギター・プレイも秀逸で、改めて彼のギタリストとしての才能を感じさせてくれる。
「Two Against Nature」
「Gaslighting Abbie 」
「Janie Runaway」
「West of Hollywood」
Gino Vannelli Night Walker [CD]
ジノ・ヴァネリは52年生まれのイタリア系カナダ人シンガー・ソングライター。風格のあるドラマティックな曲を作り、圧倒的な声量で燃えるように情熱的に歌う。そのスタイルは多くの音楽ファンを惹きつけ、プロのミュージシャンからも高い評価を得ている。81年にリリースされた『Nightwalker』はGino Vannelliの7枚目のアルバムで、前作『Brother To Brother』と並んで、ジノ・ヴァネリの代表作とされている名作で、前作をより一層情熱的に作られている。凄腕ミュージシャン、ヴィニー・カリウタ(ds)とニール・ステューベンハウス(b)の強力リズム隊に支えられ、プログレッシヴ・ロックにも通じる秀逸なアレンジが、ヴァネリの歌をドラマチックに盛り上げる。ロマンティックに仕上げたような内容になっている。アルバムのプロデュースは前作同様、ジノ、ジョー(兄)、ロス(弟)の3人で行い、曲作りにおいてはGinoが中心に作られている。フランク・ザッパやジョニ・ミッチェルなどと共演していた名ドラマーのヴィニー・カリウタにとって、本作がスタジオ・ミュージシャンとしての出世作となり、以降、トップ・セッション・ドラマーとして活躍していくこととなる。本作からは、バラードの「Living Inside Myself」がBillboard Hot 100チャートの6位を記録、セカンド・シングルはドラマティックなタイトル曲の「Nightwalker」で、こちらは41位をマーク。また、アルバムはBillboard 200チャートの15位を記録した。
「Night Walker」
「Seek And You Will Find」
「Living Inside Myself」
「Put The Weight On My Shoulders」
Cat Stevens Teaser And The Firecat [CD]
キャット・スティーヴンスが71年にアイランドレコードから発表した通算5作目となる名盤『Teaser and The Firecat』は、優しく繊細な歌声で綴られる素朴で温かみのある歌の数々が収められている、ヒット曲「Morning Has Broken」、「Moonshadow」、「Peace Train」を含む10曲が収録されている。『Teaser and The Firecat』は、スティーブンスが書き、イラストを描いた児童書のタイトルでもあります。この物語は、アルバムカバーのタイトルキャラクター、シルクハットをかぶった若いティーザーと彼のペット、ファイヤーキャットをフィーチャーしており、空から落ちてきた月を元の場所に戻そうとするお話です。このアルバムは商業的な成功を収め、スティーヴンスの前作『Tea for the Tillerman』が達成したセールスを上回り、イギリスとアメリカの両方でトップ3入りし、オーストラリアのチャートでも15週間トップに君臨し、72年にオーストラリアで最も売れたアルバムとなりました。シンガー・ソングライターとして栄光の頂点にあった77年、彼はイスラム教に改宗し、翌78年、ユスフ・イスラムに改名して、ムスリム共同体の教育問題や慈善活動に身を捧げるために音楽業界を離れますが、28年後の2006年に復帰し、アルバム『アン・アザー・カップ』を発表しました。
「Rubylove」
「Morning Has Broken」
「Moonshadow」
「Peace Train」