1976年に発売された ジャコ・パストリアスのソロ・デビュー・アルバム。ほぼ無名だった ジャコ・パストリアスが、エレクトリック・ベース・ギター(フレットレス・ベース)というリズム楽器において、ソロ楽器としての様々な可能性を提示し、ベース・ギターという楽器に留まらずに多大なる影響をおよぼす存在となったアルバム。チャーリー・パーカーの「Donna Lee」以外はジャコのオリジナル曲で、多くは、ジャコが10代の頃から作り上げてきたフレージングや音色的個性なども含めた独自性が多いのも驚かされる。単にベーシストとしてだけではなく、コンポーザー及びアレンジャーとしての才能もアルバム曲から感じることが出来る。今聴いても、この衝撃は何も変わることがない。
一曲目の「Donna Lee」9年間もフィンガリングとピチカートの練習をし続けたあげくに完成させたプレイの完結版で、サックスのようなプレイとグルーブ感とコードチェンジとフレーズどれを取っても驚くことばかり。
2曲目の「Come On, Come Over」サム&デイブを迎えたボーカル・ナンバーで、ジャコのファンキーなリフで引っぱっていくジャコらしいR&Bのナンバー。
「Portrait of Tracy」あらゆるハーモニック奏法を駆使した美しいバラードナンバー、ベース一本だけで表現するアイディアがミュージシャンの才能と奥深さが感じられる。