後藤芳子 Becouse [CD]
後藤芳子は、70年にファーストアルバム「ヨシコ・ディス・ガール」を佐藤允彦のアレンジでリリース、その後もベースの巨匠レイ・ブラウンとの共演によるアルバムをリリース、81年にリリースした「Becouse」は全曲カヴァーのアルバムではあるが、後藤芳子の久々の会心作となった。巨匠、富樫雅彦(per)が初めてジャズ・ヴォーカル作品に本格参加したということでも貴重なアルバムで、佐藤允、佐藤允彦(key)、井野信義(b)らと共にヴォーカルと楽器が高次元で融合した稀有な美しさを見事に描き出した1枚となった。歌と伴奏の垣根を感じさせず、歌声がときには管楽器のように響き、楽器の音がときには肉声のように鳴る。メンバー全員が会話しながらその場でつくりあげていくような音作りは、このメンバーでしか出来ないものだった。当時、NHKのFMのラジオでライブ演奏を聴いたのですが、凄すぎるメンバーの強力なトリオの演奏、特に富樫雅彦らしい空間的な描画を見るような演奏はすごかったです。後藤芳子の実力もなかなかのもので、戦後すぐから唄っておられ、当時で40代終盤くらいかな、ヘレン・メリル風の歌唱は時代を感じさせる物でした。
「ビコーズ」
「センド イン ザ クラウンズ」
「ユー マスト ビリーヴ イン スプリング」
「ユー ステップド アウト オヴ ア ドリーム」