Byrne & Barnes An Eye For An Eye [CD]
マッスル・ショールズNO.1のメロディ・メイカーのロバート・バーンが、最良のパートナーのブレンダン・バーンズと共に創り上げたアルバム「An Eye For An Eye」は81年にリリースされた。プロデュースはモータウン初の白人プロデューサーとしても知られるクレイトン・アイヴィ&テリー・ウッドフォード。切なさを感じさせるメロディと絶妙なコーラスワークが生み出すロマンチックなアルバム。ポインンター・シスターズ, パティ・オースティン, アース・ ウィンド & ファイアー, フィル・コリンズや ボーイズ II マンなど錚々たるソウル勢をプロデュースしてきたという素晴らしいキャリアを持つ両者。ロバート・バーンの79年のソロ・デビュー作「Blame It On The Night」それに続くセカンド・アルバム用にブレンダン・バーンズ等と作っていた曲をバーン・ アンド・ バーンズ名義でアルバムを発表したという経緯のようだ。彼らがデュオとして唯一残したアルバムは、当時なぜか米国本土でのリリースが見送られ、徳間傘下CLIMAXから日本盤のみのリリースとなった幻のアルバム。洗練されたメロディとロマンスあふれる叙情性にアーバンな香り、ソフトな哀愁ヴォーカルと絶妙なハーモニーとソウル・グルーヴが溢れ出す、さわやかで温かみがありながらもクールで都会的なサウンドの美しい一枚です。レニー・ルブラン、ロニー・ ミルサップ、アン・マレーが参加し、「Right Through The Heart(邦題:ハートでお願い)」はのちにマイケル・ジョンソンがカヴァーしています。
「Never Gonna Stop Lovin' You」
「Love You Out of Your Mind」
「Right Through the Heart」
「Standby Lover」
Faragher Brothers Family Ties [CD]
ファラガー・ブラザーズはトミー・ファラガーを中心とした4兄弟、ソウル・トレインに出演した最初のオール・ホワイトバンドで、またキッス、メリッサ・マンチェスター、ピーター・クリス、リンゴ・スター、ランディ・エーデルマン、リンダ・カーターなどの数多くの曲のバッキング・ボーカルも務めている。彼らのセカンド・アルバム「Family Ties」は77年にリリースされた。60年代と70年代のソウル・ミュージックをのエッセンスを取り入れ、そこにロサンゼルスならではの都会的なセンスを加えたバンドだったが、プロデューサーがケニー・カーナ&リッチー・ワイズに替わり、ファースト・アルバムはメンバー中心の録音だったのに対し、ギターにジェイ・グレイドン、ドラムにマイク・ベアードを全曲で起用し、前作よりもアレンジの凝ったロック寄りのサウンドになっている。特にジェイ・グレイドンが大きくフューチャーされていて、彼のフリークには必聴です。
「You're Making A Good-Bye Bad」
「Life Is Love」
「Follow My Heart」
「Fool In Love」
Robert Byrne Blame It On The Night [CD]
ロバート・バーンはアメリカのマッスル・ショールズを拠点に活動した主にカントリー・ミュージックで知られるアメリカのシンガー・ソングライター。この「Blame It On The Night」はマッスル・ショールズを代表するプロデューサー・チーム、クレイトン・アイヴィ&テリー・ウッドフォードが全面プロデュースし、79年にリリースされた、ロバート・バーンの唯一のソロ・アルバムである。哀愁味を湛えたメロウな曲を書くライターで、このアルバムにもそうした曲が多く、洗練されつつもどこかほのぼのした作風と、人間味溢れる歌声は、メロウでソウル感覚に溢れ、楽曲のクオリティーも高く、他のアーティストにカヴァーされた曲も多い。タイトル曲「Blame It On The Night」は、ハワイのAORグループのファビュラス・クラッシュがカヴァーしているし、「That Didn't Hurt Too Bad」はドクター・フックが、「No Love In The Morning」はキャプテン&テニールが「She Put The Sad In All His Songs」はマイケル・ジョンソンがカヴァーしている。この後81年にブランドン・バーンズとバーン& バーンズ名義のアルバム「An Eye For An Eye」をリリースしますが、これも美しいAORの名盤。
「Blame It On The Night」
「That Didn't Hurt Too Bad 」
「Pretend He's Me 」
「She Put The Sad In All His Songs」
Jimmy Cliff Special [CD]
ボブ・マーリーに続き、レゲエ界では2人目の「ロックの殿堂」入りを果した、ジミー・クリフ。アルバム「スペシャル」は82年にリリースされた。ジミー・クリフの声はボブ・マーリーの声よりも高くて甘い響き、マーリーのように熱烈で宣言的なスタイルを持っていましたが、ボブ・マーリーのように威圧的ではありませんでした。アルバム「スペシャル」はCBSと新しく契約し、ローリング・ストーンズのアルバム「刺青の男」のアシスタント・プロヂューサーのクリス・キムゼイが意欲的にプロデュースをしたアルバムで、レゲエを超えて色々な国の音楽を取り入れ、誰でもわかるようなジミー・クリフの気楽でポップなレゲエの手法で作られていているが、ジミー・クリフの気高い精神と政治社会を見る鋭い目は依然として健在でした。カリビアン・ミュージック路線として売り出しているが、それだけでなくジミー・クリフの音楽にはジャマイカの血と汗の香りがする。
バック・アップしているミュージシャン達は、ロン・ウッド(g)、タイロン・ダウニー(key)、スライ・ダンバー(dr)、バートラン・ランシー・マクレーン(b)などが参加している。
「Love is All」
「Treat The Youths Right」
「Roots Radical」
おまけでジョニー・ナッシュのカヴァー曲で、映画クール・ランニングのサウンドトラックのためにジミークリフによって録音され歌われた「I Can See Clearly Now」
Art Garfunkel Scissors Cut [CD]
「シザーズ・カット(北風のラストレター ) 」はアート・ガーファンクルの5枚目のソロアルバムで81年にリリースされた、「Bridge over Troubled Water」を含むサイモン&ガーファンクルのアルバムも共同プロデュースしたロイ・ヘイリーが共同プロデュースをし、2年半ぶりとなったアルバムは、今は亡き恋人のローレン・バードに捧げたもの。日本でのファースト・シングルになった「Hang On In」はアップ・テンポのナンバーだが、それ以外は穏やかで静かな曲で構成された美しい作品で、タイトル曲の「Scissors Cut」はアート・ガーファンクルとの関係が深いジミー・ウェッブの書いた名曲に、梵語の輪廻(迷いの世界を生きかわり死にかわる)の歌詞にアート・ガーファンクルの心情がこめられている。ギャラガー&ライルのヒット曲のカヴァーの「A Heart In New York」は生まれ故郷のニューヨークを歌った曲で、ニューヨークという都会の喧騒や、希望などが入り混じった独特の空気が伝わってくる、凛々しいサックス・ソロはマイケル・ブレッカー。「In Cars」もジミー・ウェッブの書いた書いた美しいナンバー、ポール・サイモンががバック・ヴォーカルで参加している。
テオ・マセロの指揮するストリングスの美しさと、ニューヨークのえりぬきのミュージシャン達の演奏も完璧です。
「Scissors Cut」
「A Heart In New York」
「Hang On In」
「In Cars」
Billy Preston & Syreeta [CD]
BILLY PRESTON & SYREETA: EXPANDED EDITION
- アーティスト: BILLY PRESTON & SYREETA
- 出版社/メーカー: SOULMUSIC RECORDS
- 発売日: 2018/10/05
- メディア: CD
「ビリー・プレストン&シリータ」は、81年にモータウン・レコードから発売されたデュエットのアルバム。5人目のビートルズと呼ばれたキーボード奏者&シンガーのビリー・プレストンとスティーヴィー・ワンダーの元妻であるシリータ、この個性的な二人の初顔合わせのアルバムは、シリータのチャーミイングなヴォーカルの魅力とビリー・プレストンの隠されたロマンチックなヴォーカルの魅力が見事に組み合わせられている。2人の出会いは、79年初頭にモータウンと契約したビリー・プレストンはシリータと偶然の出会い、モータウンは、映画「ファストブレイク」のポップバラードでコラボレーションするように進め、彼らの最初のコラボレーション「With You I'm Born Again」は79年に米国で4位、英国で2位に達するヒットをもたらしました。この曲の成功により、モータウンはその年に満了する予定だったシリータの契約を更新し、アルバム「ビリー・プレストン&シリータ」は作られることになります。モータウンらしいダイアナ・ロスとマービン・ゲイのデュエットのアルバムの路線を感じさせるアルバムは、オリー・ブラウンとマイケル・マッサーがプロデュースを行い、デュエット・アルバムらしい全体的にメロウな仕上がりとなっています。さらにジーン・ペイジのストリングス・アレンジ、ジェリー・ヘイのホーン・アレンジは豪華で美しく、レイ・パーカー・ジュニア(g)の参加もアルバムを魅力的にしています。ビリー・プレストンの新しい一面のソフトなヴォーカルには驚かされましたが、その歌声は見事にシリータの繊細で柔らかい歌声とピッタリ息がマッチしているアルバムでした。
「Someone Special」
「It's So Easy」
「One More Time For Love」
おまけで「With You I'm Born Again」
The Crusaders Standing Tall [CD]
「スタンディングトール」は、ザ・クルセイダーズの14枚目のアルバム、81年にリリースされた。79年の「ストリート・ライフ」で初めて歌手のランディ・クロフォードを起用、翌年の「ラプソディ&ブルース」ではビル・ウィザースを起用、この「スタンディングトール」では、ジョー・コッカーを起用し、「I'm So Glad I'm Standing Here Today」「This Old World's Too Funky For Me」の2曲を歌っている、この2曲はジョー・サンプル(Key)の作曲とウィル・ジェニングスの作詞で、実に良い。歌詞はジョー・サンプルの自伝的内容らしく、そのヒューマンな歌詞は、近年の自身の辛い体験をダブらせて歌うジョー・コッカーも感動的だ。ほとんどがナッシュビルの録音で、レジー・ヤング、ジョン・ゴーインといったカントリー系の大物ギタリストが参加していて、これまでにないニュアンスは新鮮でした。ギターでは随所でソロを取るバリー・フィナティの出来が素晴らしい。元メンバーのラリー・カールトンとビリー・プレストンのゲスト参加は話題となった。ベースの顔ぶれもルイス・ジョンソン、マーカス・ミラーと凄い。ザ・クルセイダーズの正式メンバーがウィルトン・フェルダー(sax)ジョー・サンプル(key)スティックス・フーパー(dr)の3人となっても、新しいアイディアを入れるザ・クルセイダーズのサウンドは楽しく素晴らしいアルバムだった。
「I'm So Glad I'm Standing Here Today」
「This Old World's Too Funky For Me」
「Luckenbach, Texas (Back To The Basics Of Love)」
「Standing Tall 」バリー・フィナティは、ブレッカー・ブラザースのギタリストでもありました、個人的に好きなプレイするギタリストで、彼の映像はあまり見た事がないので取り上げました。
Lee Ritenour Rit [CD]
「リット」はギタリスト、リー・リトナーが81年に発表したスタジオ・アルバムで、本格的にヴォーカルをフューチャーしたアルバムでした。リー・リトナーはソロ・アルバムでまだ無名だったビル・チャンプリン(その後シカゴに入りヒット曲を出します)をフューチャーしたり、セッション・ギタリストとしても幾つもの歌ものにも参加し、歌ものにも挑戦していたのですが、このアルバムでは全10曲中、前半の4曲をチョット前に紹介したエリッグ・タッグのヴォーカルをフューチャーし、リー・リトナーにとって本格的に歌もののプロデューサーであることを意識する作品となった。サウンド的にもギタリストとして歌ものでも、リー・リトナーのギターはバックでしっかり鳴っていて存在感を出しているのは一流のギタリストであることを証明している。「リット」はリー・リトナーの作品の中でも特に商業的成功を収め、この後も2枚の歌もののアルバムを発表している。リー・リトナーはギタリストだけの評価だけでなく、同時に優秀な作曲・編曲家であり、かつ才能溢れるプロデューサーとしての進化の作品となった、言い換えればそれだけ多才で器用なクリエイターである事を証明した作品だった。
スライ&ザ・ファミリー・ストーンの「(You Caught Me)Smilin'」のカヴァーは意外性があって面白かった。
「Mr Briefcase」
「(JustTell) Me Pretty Lies」
「Is It You」
「No Sympathy」
「(You Caught Me)Smilin'」
Bob James&Earl Klugh One On One [CD]
ジャズ・キーボーディストのボブ・ジェームスとアコースティック・ギタリストのアール・クルーによる79年のコラボレーション・アルバム「ワン・オン・ワン」。ボブ・ジェームスのコラボレーション・シリーズの出発点となったアルバムで、元祖スムース・ジャズの代表的なアルバムの1枚、81年にグラミー賞の最優秀ポップインストゥルメンタルパフォーマンスを受賞しています。作曲は3曲ずつを担当し、アレンジはすべてボブ・ジェームスが担当、CTI出身者らしくクラシカルな雰囲気とカラフルなサウンドはボブ・ジェームスらしく、アルバムとしてのムードが一貫しているのは、一流のアレンジャーを証明している。タイプの違う3人のベーシストを巧みに使い分け、特にウッド・ベースの名手ロン・カーターを起用した所など、緻密に練られている印象がある。アール・クルーのナイロン弦ギターから紡ぎ出される温かみのあるサウンドとボブ・ジェームスのロマンチックなピアノの組み合わせの相性は絶妙で、お互いの持ち味を同等に発揮して、2人の会話のようなやり取りのサウンドを聴くのは実に楽しい。この二人はその後10年間で3枚のコラボレーション・アルバムを作っている。
「Kari」作曲:Earl Klugh
「I'll Never See You Smile Again」作曲:Earl Klugh
「Mallorca」作曲:Bob James
Michael Hedges Aerial Boundaries [CD]
「エアリアル・バウンダリーズ(空中境界)」は、ギタリストのマイケル・ヘッジズが84年にウィンダム・ヒル・レーベルからリリースしたセカンド・アルバム。「エアリアル・バウンダリーズ(空中境界)」の曲はすべて美しく、それ自体が心に残るもので、作曲に重点が置かれているからこそで、最高のアコースティック・ギター・アルバムの1つでした。マイケル・ヘッジスはジェスロ・タルのリーダーであるイアン・アンダーソンに刺激され、フルートも手にとるようになり、レッド・ツェッペリン、ジミ・ヘンドリックスの影響を受ける一方でジョニ・ミッチェルやニール・ヤングといったシンガーソングライターを知ったことで、アコースティック・ギターに夢中になったという。ウィリアム・アッカーマンによって見いだされ、ウィリアム・アッカーマンがプロデュースした最初の2枚のアルバム「ブレックファースト・ イン・ ザ・ フィールド」と「エアリアル・バウンダリーズ」はアコースティックギター世界において画期的な作品であった。スラップ・ハーモニクス(弦を叩いてハーモニクスを出す)、右手でハンマリングをする(特に低い音で)、左手でメロディーやリズムに合わせてハンマリングとプリングを行ったりしたいるが、ほぼすべてが変則チューニングで弾いている。チョット前に紹介したニール・ヤングの「After the Gold Rush」のカヴァーが入っているのは嬉しかった。「Menage a Trois」はジョニ・ミッチェルの変則チューニングの演奏みたいだし、マイケル・マンリング -のフレットレス・ベースはジャコ・パストリアスの演奏のカヴァーみたいだった。
「Aerial Boundaries」
「Bensusan」
「Hot Type」
「After the Gold Rush」
「Menage a Trois」