Al Jarreau All Fly Home [CD]
アル・ジャロウが78年にリリースした4枚目のアルバム「All Fly Home(風のメルヘン)」プロデュースはデビューアルバムから御馴染みのアル・シュミット。エンジニアはモンキーズの仕事で有名なハンク・シカロ。黒人R&Bとは全く違う手法のスキャットでジャズ・ヴォーカリストとして独特のジャンルを築き上げたアル・ジャロウ。本作はリー・リトナー(g)が全面参加し、ジャズ界の御大、フレディ・ハーバード(tp)のフリューゲルホルンが聴ける「I'm Home」やケニー・ロギンスの名曲「Wait a Little While」のカヴァーやビートルズの「She's Leaving Home」やR&Bの名曲「(Sittin' On) The Dock of the Bay」などが入っているカヴァーが充実しているアルバムとも言えます、この後のアルバムでもチック・コリアの「スペイン」などの色々なカヴァーをしていますがその始まりのアルバムです。さらに今までのジャズ路線からポップ路線への新たな開拓をし始めた、記念すべきアルバムと言われています。アル・ジャロウの独自路線の歌を楽しむことができます。
「Thinkin' About It Too」
「I'm Home」
「Wait a Little While」
「She's Leaving Home」
Dave Mason & Cass Elliot [CD]
Dave Mason & Cass Elliot (Remastered)
- アーティスト: Dave Mason & Cass Elliot
- 出版社/メーカー: Cherry Red
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: CD
ママス&パパスのママ・キャスことキャス・エリオットと元トラフィックのギタリスト&ヴォーカリストのデイブ・メイスンによる唯一のコラボレーション・アルバム「デイヴ・メイソン&キャス・エリオット」は71年にリリースされた。トラフィックと分裂して米国に到着したばかりのデイブ・メイスンは、新鮮なコラボレーションに興味を持っていて、そんなときデイヴ・メイソンとキャス・エリオットは意気投合し、出来たアルバムでした。チョット前に紹介したネッド・ドヒニーをくわえてた3人組でデビューする話もあがったが実現せず、その名残りがネッド・ドヒニーが提供した曲「On And On」に窺えます。ポール・ハリス(key)ブライアン・ギャロファロ(b)ラス・カンケル(dr)の5人によってレーコディングされた。デイブ・メイスンとキャス・エリオットのハーモニーも素晴らしいが、デイブ・メイスンを中心とした曲作りは当時のカントリーロックのハーモニーサウンドに分類されますが、よりブルージーなエッジがあった曲は良い出来で、素晴らしいアルバムとなりました。「Something To Make You Happy」はデイヴ・メイソンとキャス・エリオットの唯一の共作で、キャス・エリオットが作詞作曲に手を貸したのは作品これが最後となります。またデイブ・メイスンのアコースティック・ギターの上手さも際立つアルバムでもあります。この3年後に33歳の若さでキャス・エリオットは急死しているためそういう意味でも大変貴重なアルバムと言える。
「Walk To The Point」
「On And On」
「Something To Make You Happy」
「Too Much Truth, Too Much Love」
Kenny Loggins Keep The Fire [CD]
「キープ・ザ・ファイア」は、ケニー・ロギンスが79年に発表した、ソロ名義では3作目のスタジオ・アルバム。前2作はボブ・ジェームスがプロデュースしたのに対し、本作ではデレク&ザ・ドミノス(エリック・クラプトン)の「いとしのレイラ」を手がけた、ロック畑の実績の多いトム・ダウドがプロデューサーに起用された。シングル曲の「This Is It」はドゥービー・ブラザーズの演奏で大ヒットした「What a Fool Believes」に続くマイケル・マクドナルドとの共作で、全米11位となりグラミー賞最優秀男性ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞した。「Give It Half A Chance」はスティーヴン・ビショップとの共作、「Mr. Night」ほ元ホンクのリチャード・スコテルとの共作「Who's Right, Who's Wrong」はペイジズのリチャード・ペイジとの共作(前回に紹介したので比べて聴いて下さい)そうしたコラボを聴く事が出来るアルバムでした。「This Is It」ではピアノとコーラスでマイケル・マクドナルドが参加、「Who's Right, Who's Wrong」ではペイジズのバージョンと同じくマイケル・ブレッカーがサックスを吹き、リチャード・ペイジと当時「オフ・ザ・ウォール」の制作を終えたばかりのマイケル・ジャクソンがコーラスをしている豪華なテイクです。アルバムとしては、前作に続き、のちにシカゴに加入するトリス・インボーデン(dr)ら、ツアーも共にする自身の若手バンドも起用し、よりバンドの魅力を前面に出し、スケールの大きさを出したアルバムとなりました。
「Love Has Come of Age」
「Who's Right, Who's Wrong」
「Give It Half A Chance」
「This Is It」
Pages Future Street [CD]
リチャード・ペイジ(vo/b)とスティーヴ・ジョージ(key/vo)を中心としたグループ「ペイジズ」。ドラマーのジョージローレンスとギタリストのチャールズ・イカルス・ジョンソンが新たに参加して制作されたセカンド・アルバム「Future Street」は79年にリリースされた。再びボビー・コロンビーがプロデュースしたこのアルバムは、プログレッシブな倍音を備えたややハードエッジのポップロックサウンドをブレンドした作品でした。シングル曲としてロック色の強い「I Do Believe in You」は全米84位止まりだったが、アメリカ、マーティ・バリン、フランク・スタローンらがカヴァーしています。ケニー・ロギンスとリチャード・ペイジが共作した「Who's Right, Who's Wrong」はマイケル・ブレッカーの華麗なサックスも印象的なペイジズ屈指の名曲、この曲はマーヴァ・キング、フォー・トップス、メル・カターなどがカヴァーし、多くのカヴァー・バージョンを生んでいる名曲です。ケニー・ロギンスの作品にも収録されているが、こちらのヴァージョンも素晴らしい出来です。しかしペイジズは成功を手にすることは出来ず、次のアルバムで終止符を打ち、Mr.ミスターの結成へと進み、成功を手に入れます。
「Who's Right, Who's Wrong」
「I Do Believe in You」
「Chemistry」
「Two People」
Ned Doheny Prone [CD]
ネッド・ドヒニーは、8歳からギターを習い、学生時代は同世代のジャクソン・ブラウンらと音楽活動を共にし、その後、ロンドンに渡り音楽理論や作曲法などについて学び、ママ・キャスやデイヴ・メイソンのレコーディングに参加し、デイヴ・メイソンやキャス・エリオットとグループの結成の話もあったが、結局、創設直後のアサイラム・レコードとソロ契約し、72年にジャクソン・ブラウンやJ.D.サウザーやイーグルスらと同時にデビューする。代表作「ハード・キャンディ」のリリースから間を空けずに作られたのが本作「プローン」で79年にリリースされた、ネッド・ドヒニーの3作目のアルバム。アメリカでの発売は見送られ、日本のみのリリースとなったアルバムで、前作に続いてスティーヴ・クロッパーがプロデュースを担当、タイトなサウンドと甘酸っぱいヴォーカルは変わっていない、「ハード・キャンディ」の続編的な作品で、よりソウルフルな側面を深めたサウンドになっている。J.D.サウザー、ボニー・レイット、デヴィッド・フォスター、ジェフ・ポーカロなどによるサポートも本作の魅力になっている。何故か本国での知名度は低いものの、日本では非常に人気が高い。
ネッド・ドヒニーはは優れたソングライターでもある、アヴェレイジ・ホワイト・バンドのヘイミッシュ・スチュアートと共作した名曲「What Cha' Gonna Do for Me」をチャカ・カーンに提供しナンバー・ワン・ヒットとを出している、今はホイットニー・ヒューストンのヴァージョンの方が有名かな?
「To Prove My Love」
「Think Like A Lover」
「Guess Who's Looking For Love Again」
「Thinking With My Heart」
Steve Eaton [CD]
スティーヴ・イートンは、70年代初頭のファッ・チャンスというグループにビル・ラバウンティと共に在籍したシンガー・ソングライター。70年代アメリカン・シンガー・ソングライターの中でも特にマニアに評価の高く、甘口ポップ/ロック的サウンドで、シンガー・ソングライター系ソフト・ロックの元祖と言われていた。ファースト・アルバム「ヘイ・ミスター・ドリーマー」から5年を経て発表されたこのセカンド・アルバム「Steve Eaton」は79年にリリースされた。グルーヴのスパイスが効いている都会的なメロウ・サウンドに進化した作品となっていて、フリーソウル・ファンにはたまらない作品となっています。リーランド・スクラー、スティーヴ・ルカサーほか、バック・ミュージシャン陣も実に豪華。このアルバムの穏やかな雰囲気や癒しのサウンドにはビル・ラバウンティとの共通点も感じられるが、収録曲は全てスティーヴ・イートンの作詞・作曲で、そのサウンドの表情の多彩さはビル・ラバウンティより上かもしれない、良い曲が多く入っているアルバムで、どの曲もメロディが瑞々しくて洗練されたアレンジをされている。
「Without You」
「All In Love Say "I" 」
「Hurricanes And Tornadoes 」
「Got Me Moanin' 」
Todd Rundgren Hermit of Mink Hollow [CD]
「ハーミット・オブ・ミンク・ホロウ(ミンクホロウの世捨て人)」は、78年にリリースされたトッド・ラングレンのアルバムで、ソロ名義では8作目のスタジオ・アルバム。ニューヨーク州レイクヒルのミンクホローロードにある自宅でこのアルバムを録音し、共同エンジニアとしてマイク・ヤングが参加しているのを除けば、すべての楽器とボーカルはトッド・ラングレンによって演奏され、プロデュースと編曲のすべてを単独で担当し、最小限のアレンジでピアノを演奏し、そのポップ感覚を前面に出し披露することを意図していました。当時の彼はソロ作品の合間を縫って、リーダーを務めるバンド「ユートピア」を率いて精力的にツアーを行なっていた頃で、実験的なサウンドの「ユートピア」に対して「ハーミット・オブ・ミンク・ホロウ(ミンクホロウの世捨て人)」は彼のポップ・サイドを代表する作品となりました。名盤「サムシング/エニシング?」が好きな人には絶対にオススメです。オリジナルLPでは、A面が「The Easy Side」、B面が「The Difficult Side」となっています。「Can We Still Be Friends?」 はロバート・パーマー、ロッド・スチュワート、コリン・ブランストーン、マンディ・ムーアにカヴァーされ、トッド・ラングレンの曲で最もカヴァーされた名曲になりました。
「Can We Still Be Friends」
「All The Children Sing」
「Too Far Gone」
「You Cried Wolf」
The Manhattan Transfer Fifty [CD]
- アーティスト: The Manhattan Transfer WDR Funkhausorchester
- 出版社/メーカー: Craft Recordings
- 発売日: 2022/10/21
- メディア: CD
マンハッタン・トランスファーが結成50周年を記念して制作された新アルバム[Fifty]は、2022年10月にリリースされた。ドイツのケルン放送管弦楽団、グラミー受賞者のホルヘ・カランドレッリ、ヴィンス・メンドーザ、アマンダ・テイラーらとともにマンハッタン・トランスファーのヒット曲をオーケストラ仕様でレコーディングした作品。名曲「Chanson D’Amour」「Twilight Zone / Twilight Tone」「The Man Who Sail Around His Soul」は、新たに編曲した新バージョンとなっています。更に、ジョージ&アイラ・ガーシュウィン「The Man I Love」(グループ初録音)とビーチ・ボーイズ「God Only Knows」という不朽の名曲カバーも収録。バンドの共同創設者、アラン・ポールは「50年にわたる我々の音楽の重要な変遷を表すような曲を選びたかった。かなり手ごわい仕事だった。僕らが興味を持ったのは、グループの歴史の中で重要な瞬間を表すような曲や、必ずしもヒット曲ではないけれど、僕らが本当に好きな曲を選ぶことだったんだ。また、これはコラボレーションなので、シンフォニーにインスピレーションを与え、うまく機能するような曲を選ぶことも重要な事でした」と語っています。グループの創設者でありリーダーであったティム・ハウザーが2014年に亡くなった時はどうなるかと思いましたが、アカペラ・グループのm-pact で歌っていたトリスト・カーレスが新加入し、卓越したボーカル技術とハーモニーを保つことができました。「Fifty」は現代音楽界で最も偉大なヴォーカル・グループの50周年を記念するような素晴らしいアルバムとなっています。
「God Only Knows」
「Chanson D'Amour」
「Twilight Zone/Twilight Tone」
「The Man Who Sailed Around His Soul」
「The Man I Love」
Elvis.Costello & Burt.Bacharach The Songs Of Bacharach & Costello [CD]
The Songs Of Bacharach & Costello
- アーティスト: Elvis Costello Burt Bacharach
- 出版社/メーカー: Ume
- 発売日: 2023/03/03
- メディア: CD
アカデミー賞3回、グラミー賞6回受賞、ソングライター・作曲家・ピアニストとして活躍、今年2月にこの世を去ったバート・バカラックとジャンルを超えて活躍するエルヴィス・コステロとの約30年間におよぶコラボレーションを集約するアルバム「 The Songs Of Bacharach & Costello」が3月3日にリリースされた。96年に映画「グレイス・オブ・マイ・ハート」のために「Good Give Me Strength」を共作するのがきっかけとなり、前にも紹介した名盤、98年にリリースされた「Painted from Memory」が制作された。「The Songs Of Bacharach & Costello」は「Painted from Memory」の2023年リマスター・アルバムを含む、バカラック&コステロの共作曲を2CDにした物。その前にエルヴィス・コステロはポール・マッカートニーともコラボレーションをしたが短命に終わった、エルヴィス・コステロとバート・バカラックの年の差は26歳だがコステロの野性味があるヴォーカルを気に入り(B.J.トーマスの「Raindrops Keep On My Head」にも同じような声の質感をかんじる)その相性の良さから30年近くに及ぶコラボレーションが続いた。メロウだけでないエモーショナルさも加わり、派手さは無いが大人なサウンドを展開し、2人にしか出来ない感動的な歌の境地となっている。
「Toledo」
「My Thief」
「Such Unlikely Lovers」
「I Still Have That Other Girl」
サザンオールスターズ 熱い胸さわぎ [CD]
「熱い胸さわぎ」は、サザンオールスターズの記念すべきファースト・アルバム、78年にリリースされた。デビューシングル「勝手にシンドバッド」からちょうど2か月後に発売され、収録曲は全て作詞・作曲:桑田佳祐。歌謡曲や湘南サウンド、サザンロックやスワンプ、はたまたレゲエなど、色々なジャンルにまたがる楽曲は新鮮だった。アメリカ西海岸のリトル・フィートへのオマージュを取り入れた作品「いとしのフィート」なども収録。レコーディングでは新田一郎率いるホーンセクション、Horn Spectrumが数曲参加している。お金を掛けられない環境で制作した唯一のアルバムで、学生バンドのピュアな青春度の高さ、アマチュアっぽさがなんとも愛おしく、サザンオールスターズの原点にして今に繋がる要素は全て入ってるアルバム。デビューする前年の1977年、サザンオールスターズはヤマハ主催のイースト・ウェストのコンテストに出場し、桑田佳祐は“ベストボーカル賞”を獲得したのだが、ボーカル以上に楽曲を書く才能が傑出していたことが証明されるアルバムでもある。
「恋はお熱く」
「茅ヶ崎に背を向けて」
「当って砕けろ」
「勝手にシンドバッド」