Scott Jarrett Without Rhyme Or Reason [CD]
このブログを初めてすぐに取り上げたスコット・ジャレットのアルバム「Without Rhyme Or Reason」久しぶりに聴き、もう一度紹介しよう思いました。大御所ジャズ・ピアニスト、キース・ジャレットの実弟のスコット・ジャレットが残した唯一のアルバム「Without Rhyme Or Reason」は80年にリリースされました。フォークやジャズなどに影響を受けたシンガー・ソング・ライターで、このアルバムでは全てが彼のオリジナルで、作曲の才能もあるというミュージシャンです。無理のない温かみのあるヴォーカルは説得力もあり、アコースティック・ギターもスコット・ジャレットが全ての曲で弾いていて、その腕前もなかなかであります(なかには、ジョージ・ベンソンばりのギターとスキャットを披露している曲もあります)。兄のキース・ジャレットも「Never My Fault」と「Pictures」の2曲でしっかり参加して、キース・ジャレットが歌伴をすることはめったにないことなので、それだけでも貴重な録音だと言えます。音数が多いのに歌のジャマにならず、歌と会話をするようなキース・ジャレットらしい即興性のある綺麗なフレーズで歌に寄り添って盛り上げています、この息の合った演奏は兄弟ならではのものでしょう。プロデュースはデイブ・グルージンとラリー・ローゼン、アレンジはデイブ・グルージンで、スコット・ジャレットととても良くマッチしています。残念ながらスコット・ジャレットのアルバムはこの「Without Rhyme Or Reason」だけで、せめてもう一枚アルバムを出してほしかったというのが感想です。
「Miles of Sea」
「Never My Fault」
「Without Rhyme Or Reason」
「Pictures」
George Benson in Flight [CD]
「イン・フライト」は、ジョージ・ベンソンによる77年のスタジオ・アルバム、発売の翌週にはジャズ・チャートの首位に立ち、そのまま12週間その座を守り、前作の大ヒット・アルバム「ブリージン」に続いて年間のトップ・ジャズ・アルバムに認定された。前作のシングル曲「ブリージン」や「マスカレード」のようなヒット曲には恵まれなかったが、個人的には「イン・フライト」の方がWarの名曲「The World Is a Ghetto」やダニー・ハサウェイの名曲「Valdez in the Country」やモリス・アルバート作曲で大好きな「Gonna Love You More」を収録、ジョージ・ベンソンの中でも素晴らしいアルバムだと思っている。この時のジョージ・ベンソン・バンドのメンバーは最強で、ホルヘ・ダルト(key)ロニー・フォスター(key)フィル・アップチャーチ (g)スタンリー・バンクス(b)ハーヴェイ・メイソン(dr)ラルフ・マクドナルド(per)で、ヴォーカリストしてもギタリストとしても、どちらも最高に素晴らしい演奏をし、サポートをしている。この頃のジョージ・ベンソンは飛ぶ鳥を落とす勢いがあり、グラミー賞などの賞レースを総なめした。アルバム「イン・フライト」は、幅広いリスナーに受け入れられるキャパシティとクオリティの広さの両方を持っていた。
「Nature Boy」
「The World Is a Ghetto」
「Gonna Love You More」
「Valdez in the Country」
Wilbert Longmire Sunny Side Up [CD]
ギタリストのウィルバート・ロングマイアーは、モータウン・レビューを足掛かりにプロの道に進み、ジャック・マクダフ、ジミー・スミス、らと共演、68年に初リーダーアルバム「レヴォリューション」をリリースしたが、本作のレーベル、タッパン・ジーに迎えられるまで、彼にスポットライトが当たる事は無かったが、その後ジョージ・ベンソンに見い出され、ボブ・ジェームスを紹介され、ボブ・ジェームスのレーベルであるタッパン・ジー・レーベルから78年に「Sunny Side Up」をリリースする。「目玉焼き」のジャケットが印象的で、当時ジャケ買いした人もいたという。全体的にボブ・ジェームスがプロデュースしているのでやはりそれっぽいサウンドとアレンジですが「Love Why Don't You Find Us」はウィルバート・ロングマイアーとパティ・オースティンの共作で、ボーカルもロングマイヤー自身が取っていて、メローでAORしていますし、パティ・オースティンもコーラスで参加しています。参加しているミュージシャン達はボブ・ジェームス(key)リチャード・ティー(key)コーネル・デュプリー(g)エリック・ゲイル(g)ゲイリー・キング(b)ハーヴィー・マイソン(dr)デヴィッド・サンボーン(sax)などです。
「Black is The Color」
「Love Why Don't You Find Us」
「Lovely Day」
Graham Central Station Mirror [CD]
「Mirror」は、76年にリリースされたグラハム・セントラル・ステーションの4枚目のアルバム。女性マルチ・プレイヤーのゲイル“ベビー・フェイス”マルドロウをメンバーに加え、よりポップなタッチになったグラハム・セントラル・ステーションの分岐点となったアルバムで、このアルバムはいつものようにファンキーですが、その叙情的な内容には多くのゴスペル・ミュージックが含まれています。グラハム・セントラル・ステーションらしい楽しいファンクトラックの「Entrow」で始まり、自由奔放でメロウなテンポでアレンジされている「Love (Covers a Multitude of Sin)」など、揺るぎないビートに支えられ、メンバーが交代でボーカルを披露しているアルバムです。ラリー・グラハムがアルバムの全曲で作曲を手がけていることから、彼の私生活の経験を基にしていた可能性が高く、ラリー・グラハムの人柄を現すような楽しいファンク・アルバムとなっています。
「Entrow」
「Love (Covers a Multitude of Sin)」
「I Got a Reason」
「Priscilla」
Harvey Mason Chameleon [CD]
70年代に世界最高峰のドラマーとしてスティーブ・ガットと人気を二分したドラマー、ハヴィー・メイソン。アルバム「カメレオン」は2014年リリースされた。ハヴィー・メイソンの出発点となったのが、ジャズ史燦然と輝くハービー・ハンコックの73年の「ヘッド・ハンターズ」である。その代表曲の「カメレオン」はエレクトリック時代の幕開けとなったジャズ・ファンクの曲で、空前の大ヒットとなった。それから40年後「ヘッド・ハンターズ」の一員だったドラマーのハヴィー・メイソンは「カメレオン」のリメイク・バージョンを収録した本作をリリース、8年ぶりのリーダー作で、原点回帰といえるコンセプトのもとにパトリッシュラッセン(key)ジミー・ハスリップ(b)ビル・サマ-ズ(per)カマセイ・ワシントン(sax)などに声をかけ「カメレオン・バンド」結成する。新しい「カメレオン・バンド」は大人の洗練されたサウンドとなった、11曲中8曲はハヴィー・メイソンの作曲で、ドラマーだけではない才能を聴かせてくれる。
「Chameleon」
「If I Ever Lose This Heaven」
「Places And Spaces」
「Looking Forward (Breaking Bad)」
Tony Remy Boof [CD]
トニー・レミーは、あらゆるジャンルの音楽を取り入れたエキサイティングなギタリストの一人です。
93年にファースト・ソロ・アルバム「BOOF」をアメリカのジャズ・フュージョン・レーベル、GRPからリリースし、このアルバムは好評を博し、トニー・レミーは注目すべき人物の一人としての地位を確立しました。ジョン・スコフィールド、ハイラム・ブロック、マイク・スターン、ジョージ・ベンソン、ジミ・ヘンドリックス、B.B.キングなどのギタリスト達が、トニーの演奏を形作るのに貢献し、その後、トニーは独自のスタイルを確立、彼のハードエッジでリズミカルなアプローチは、ジャズの直感とブルージーなソウルの精神を融合し、表現力の豊かなギタリストで、あらゆるスタイルの音楽に適応する彼の能力は、他の多くのギタリストとは一線を画しています。トニー・レミーと共演したミュージシャン達は、ロック&ポップの世界では、アニー・レノックス、ジャック・ブルース、スティーヴ・ルカサー、グレン・ヒューズ、シンプリー・レッド、など、ジャズ、ファンク&ソウルの世界では、ハービー・ハンコック、ピー・ウィー・エリス、インコグニート、ジャズ・クルセイダーズ、コートニー・パイン、フレディ・ハバード、ロニー・ロウズ、ロニー・リストン・スミス、トム・ブラウン、ケニー・バーク、トニー・モムレルなどで、そのバラエティに富んだかれのギター・プレイがあったからである。
「Glide」
「Mercy Mercy Me ( The Ecology )」
「Fetcha Funk」
「Hazel's Dream」
Patti Austin Body language [CD]
「ボディ・ランゲージ」はパティ・オースティンの4枚目のアルバムで、CTIレーベルでの最後ノアルバムである。この後81年にパティ・オースティンはクインシ・ジョーンズが新たに設立したクエスト・レコーズへ移籍をしている。移籍後は自身のアルバムをヒットさせるとともに、クインシー・ジョーンズ、マイケル・ジャクソン、ジョージ・ベンソンなどのクインシー・ジョーンズが携わったサクヒンにもフューチャーされ、さらなる飛躍を遂げている。80年代のパティ・オースティンはブラック・コンテンポラリー色を津米ていくのだが「ボディ・ランゲージ」はそうした80年代の幕開けを告げるアルバムとなった。録音はニューヨークとアラバマのマッスル・ショールズ。サウンドで行われ、ニューヨーク録音ではスパイロ・ジャイラのキーボード奏者のジェレミー・ウォールがアレンジを担当、マッスル・ショールズ録音では、マッスル・ショールズ・リズム・セクションがアレンジを担当した。このアルバムではいくつかのカヴァー曲を取り上げている、「Body Language」はアイザック・ヘイズの曲で、もともとはアイザック・ヘイズとディオンヌ・ワーウィックのヌーディなナンバーをアップテンポにしグルーヴィなナンバーにしている。他にも「We've Got Tonight」はボブ・シーガーの曲、「People In Love (Do The Strangest Things)」はセヴンス・ワンダーの曲である。
「Body Language」
「We've Got Tonight」
「People In Love (Do The Strangest Things)」
「I Can't Stop」
S.O.S.Band Sands Of Time [CD]
[サンズ・オブ・タイム]は、86年にレーベルTabuからリリースされたS.O.S.バンドの6枚目のアルバム。S.O.S.バンドはアトランタ出身のR&B&エレクトロ・ファンク・グループで、サードアルバムからプリンスの参加から飛び出したジミー”ジャム”ハリスとテリー・ルイスことジャム&ルイスがプロデュースを担当、TR-808の打ち込みによるリズム・トラックの快感を敷き詰め、幻想的なシンセを響かせ、実に禁欲なファンクネスを持ったバンドだった。86年のジャム&ルイスと言えば、やはりジャネット・ジャクソンの最初のモンスター・アルバム「Control」をプロデュースしたという事になるが、同年にリリースした「サンズ・オブ・タイム」も全曲をプロデュースし、その結果S.O.S.バンドの革新的な仕事ぶりは目を見張るものがあり、彼らを代表する傑作アルバムとなった。オリジナルのリードシンガーのメアリー・デイヴィスをフィーチャーした最後のアルバムでもあった。
87年4月 に初来日し、今は無き、渋谷「ライヴ・イン」というライブ・ハウスでオール・ナイト・ライブを行い、これは面白そうだと見に行きました。確か午前1時頃から始まり朝日が昇り始めるころに終わる、まさにオール・ナイトのライブでした、オール・スタンディングで盛り上がり過ぎて空調が効かなくて暑かったのを今でも覚えています。その後に出口で高校の後輩の女の子と偶然合い、「見に来てたんだ、一緒に帰ろうよ」と、朝日が眩しい中一緒に帰ったのを今でも鮮明に覚えています。
「Even When You Sleep」
「Sands Of Time」
「Borrowed Love」
「The Finest」
Lenny White Present Tense [CD]
レニー・ホワイトは、アメリカ・ニューヨーク市生まれのジャズドラマーでプロデューサー、コンポーザー、アレンジャーの多彩なミュージシャンである。マイルス・デイヴィスのアルバム、「ビッチェズ・ブリュー」に、ドラマーで19歳で参加し、73年にチック・コリアのリターン・トゥ・フォーエヴァーにも加入、87年には、生まれ育った街クイーンズの仲間、マーカス・ミラー(b)やバーナード・ライト(key)らとジャマイカ・ボーイズを結成する。多くのミュージシャンとセッションし、フレディ・ハバードやジョー・ヘンダーソン、ウディ・ショウ、ガトー・バルビエリ、ギル・エヴァンス、スタンリー・クラーク、スタン・ゲッツ等と共演している。95年にリリースされた「Present Tense」はマーカス・ミラーのバンドのメンバーと制作されたアルバムで、しっかりとしたコンセプトがあり、それはジャズとヒップ・ポップやファンクを無理なく自然と融合することであった。特にコンポーザーとしてのセンスは素晴らしく、アルバムの大半の曲はレニー・ホワイトのオリジナルである。
「Thick」
「Who Do You Love」
「Sweet Tooth」
「Caprice」
Lee Ritenour & Larry Carlton Larry&Lee [CD]
「ラリー&リー」はギタリストのリー・リトナーとラリー・カールトンが95年に連名で発表したスタジオ・アルバム。70年代のフュージョン・シーンで人気を二分したラリー・カルトンとリー・リトナーは、その後もトップ・ランナーとしてそれぞれの道を歩んだ。二人は、過去にスタジオ・ミュージシャンとして同じアルバムに参加したこともあり、特に有名なのはスティーリー・ダンのアルバム「彩(エイジャ)」の収録曲「ディーコン・ブルース」では両名の演奏がフィーチャーされている。本作にはリトナーとカールトンのオリジナル曲が5曲ずつ持ち寄られ、唯一両名が共作した「ロウ・ステッピン」では、カールトンの曲「ハイ・ステッピン」86年のアルバム「アローン・バット・ネヴァー・アローン」に収録のイントロのサンプリングが使用された。また、「L.A.アンダーグラウンド」では、リトナーのアルバムで93年に「ウェス・バウン」からのオルガンおよびドラム・サウンドのサンプリングが使用されている。全体的に軽めでメローなサウンドに統一されていて、その心地良さは、二人が力任せに弾かず、湧きでる歌心で会話をしているようである。
「Crosstown Kids」
「Low Steppin'」
「Closed Door Jam」
「L.A. Underground」