Marcus Miller The King Is Gone [CD]
マーカス・ミラーが9年ぶりに発表したサード・アルバム「The King Is Gone」は93年にリリースされ、91年に亡くなったマイルス・デイヴィスに捧げられたアルバムとなった。前の2作とは違い、マーカス・ミラーのベースのプレイをフューチャーしたアルバムで、ファンが待ち望んでいたスタイルのアルバムとなった、天才プロデューサーのマーカス・ミラーが天才ベーシストのマーカス・ミラーをプロデュースしたアルバムで、プロデューサーとしては単なるアンサンブルの中でのベースをフューチャーさせることだけではアルバムの完成度を損なってしまうのをわかっていたが、シャープなフレージングと一音弾いただけでわかるワン・アンド・オンリーのベース・プレイとそれを引き立たせることが出来るソング・ライターとアレンジャーとしてのバランス感覚もあり、今ならその完成度が出来ると判断、ベーシストとしても極限までの解放したベース・プレイが出せると実践し、多彩なエレクトリック・ベースの魅力を100%引き出しているアルバムとなっている。ゲストのミュージシャンも超豪華で、マイルス・デイヴィス(tp) ウェイン・ショーター(sax)ハイラム・ブロック(g)ジョー・サンプル(key)デイヴッド・サンボーン (sax)トニー・ウィリアムス (ds)オマー・ハキム(ds)レニー・ホワイト (ds)などで、彼らの魅力も十分引き出しているプロデューサー・ワークも素晴らしく、9年間の間で全ての面で成長したマーカス・ミラーを聴けるアルバムである。
「Juju」マーカス・ミラー:作曲 マイルス・デイヴィスの同名のアルバムから、マーカス・ミラーならではの完成度の高いインスト・ファンク・ナンバー。
「RAMPAGE」マーカス・ミラー:作曲 マイルス・デイヴィス(tp)をフューチャーしている。
「Teen Town 」ジャコ・パストリアス:作曲 ジャコの衝撃的な名曲をスラッピングで弾ききっているのは見事、ジャコらしくないよう弾くには2年もかかってしまったとか。ハイラム・ブロックのギター・ソロも良いし、オマー・ハキムのドラミングも凄い。
「Round Midnight」ジャズ・ピアニストの巨匠セロニアス・モンクの名曲を見事にアレンジ、レイラ・ハサウェイのヴォーカル、マーカス・ミラーのバス・クラリネット、ジョー・サンプルのピアノ、前回紹介したトム・ブラウンのトランペット・ソロが聴ける。