Arthur Blythe Illusions [CD]
アルバム「イリュージョン」はジャズ・サックス奏者アーサー・ブライスが80年にニューヨークで録音した3枚目のアルバム。当時40歳だった黒人アルト奏者でキャノンボール・アダレイのような大男でアルト・サックスが小さく見えてしまう人で、なによりサックスらしさを前に出し、、アルトらしからぬ太くて豪快な音を出し、これだけ楽器を鳴らすことが出来れば、それだけでも十分堪能できるミュージシャンでした。このアルバムでは、ピアニストのジョン・ヒックス、ベーシストのフレッド・ホプキンス、ドラマーのスティーヴ・マッコールによるカルテットと、ギタリストのジェームズ・ブラッド・ウルマー、チェロ奏者のアブドゥル・ワドゥッド、チューバ奏者のボブ・スチュワート、ドラマーのボビー・バトルによるよりエキセントリックなユニットの2つの異なるグループから構成されていて、アーサー・ブライス独特なオリジナル曲の6曲で最高の形で聴く事が出来ます。アルバムに収録されているファンク・チューンの「Bush Baby」は、ブラック・コンテンポラリーらしさの極みだし、「My Son Ra」のチェロとの絡みはヨーロッパ音楽との融合ともいえるものでした。伝統音楽を現代的感覚で再構築しようとするアーサー・ブライスの考えを聴く事が出来るアルバムでした。
「Bush Baby」
「My Son Ra」
「Miss Nancy」
「As of Yet」