Chick Corea The Mad Hatter [CD]
「マッド・ハッター」は、チック・コリアの11枚目のアルバムで、絶頂期であったリターン・トゥ・フォーエバーを解散し、その直後の78年にリリースされた。このアルバムは、リターン・トゥ・フォーエバーに飽き足らなくなっていたチック・コリアが作り上げた最高傑作と言われたアルバムです。ルイス・キャロルの1865年の小説「不思議の国のアリス」にインスパイアされたコンセプトアルバムで、収録曲のタイトルが示す通り、全曲が「不思議の国のアリス」をテーマとしている。中でも特筆すべきが「Humpty Dumpty」「Dear Alice」、そして「The Mad Hatter Rhapsody)」の3曲で、「Humpty Dumpty」は「不思議の国のアリス」に登場するタマゴのキャラクターで、英語でずんぐりむっくりな人といった意味があるらしいが、スティーヴ・ガッドとエディ・ゴメスのリズム隊が複雑な転調の4ビートを演奏する楽曲で、現在も多くのジャズメンによって好まれ演奏されている。「Dear Alice」は、はチック・コリアのファンタジー感覚が絶頂に達した名演で、チック・コリア夫人でもあるゲイル・モランのヴォーカルが素晴らしく、ここぞのタイミングで絡んでくるストリングス隊やブラス隊も抜群です。「The Mad Hatter Rhapsody)」はゲスト参加したハービー・ハンコックがフェンダーのローズ・ピアノを弾き、チック・コリアらしい複雑に創られたテーマに続いて、当時大流行していたアナログシンセであるミニ・ムーグを演奏するチック・コリアの圧巻のソロと、ローズ・ピアノを演奏するハービー・ハンコックの怒涛のソロが入れ替わり展開される曲です。本作はチック・コリアにしか表現し得ない最高の音楽が展開されているアルバムです。
「Falling Alice」
「Humpty Dumpty」
「The Mad Hatter Rhapsody」