Pilot From The Album Of The Same Name [CD]
74年のパイロットのデビューアルバム「From The Album Of The Same Name」メンバーはスコットランドのエジンバラ出身のデヴィッド・ペイトン、ウィリアム・ライオール、スチュアート・トッシュ、(デヴィッド・ペイトンとウィリアム・ライオールはデビュー前のベイ・シティ・ローラーズのメンバーだった、彼らのサウンドを聴くと納得できる思う)。そしてプロデュースは後期のビートルズやピンク・フロイドの「狂気」のエンジニアだったアラン・パーソンズで彼らの若い魅力を上手く引き出している。このアルバムからセカンド・シングルとしてシングル・カットされた「Magic」が全米と全英でヒットし彼らの代表曲となる。ベイ・シティ・ローラーズの人気が出た頃だったが、同じ英国の70年代のポップ・ロックの最良なエッセンスを感じられる。
「Magic」
「Girl Next Door」
Art Garfunkel Angel Clare [CD]
アート・ガーファンクル初のソロアルバム。「エンジェル・クレア」の原題は、トーマス・ハーディの小説『ダーバヴィル家のテス』の登場人物エンジェル・クレアからとられている。
サイモン&ガーファンクル解散後大きな話題とともに発表された、ソングライターではなくヴォーカリストのガーファンクルがジム・ウェッブ、ポール・ウィリアムス、ロジャー・ニコル、ランディ・ニューマン、ヴァン・モリソンなどのシンガー・ソングライター作品を採り上げ、2年かけて吟味し完成されたヴォーカリストとしての立場で作られたもので、ガーファンクルの魂と新境地を感じられ、美しいヴォーカルを堪能できる、またサイモン&ガーファンクル解散後ポール・サイモンに遅れをとっていた重圧を跳ね除けその期待に応えたアルバムでもある。ラリー・カールトン、ハル・ブレイン、ラリー・ネクテル、ジョー・オズボーン、JJ・ケイルといったトップミュージシャンたちがバックを固め、ポール・サイモンとジェリー・ガルシアがゲスト参加している。ガーファンクルの独特のハイトーンヴォイスがたっぷり味わえる。「All I Know」がシングルチャート9位まで上がり、アルバムも5位と大ヒットを記録した。
「Travelling Boy」前回紹介したポール・ウィリアムスとロジャー・ニコルの共作。
「All I Know」ジム・ウェッブの作曲、彼とは以後何度もコラボレーションします。
「Feuilles Oh/Do Spacemen Pass Dead Souls On Their Way To The Moon?」ハイチ民謡に中盤にバッハの「クリスマス・オラトリオ」が挿入されている曲で、選曲したガーファンクルのセンスは素晴らしい。
Paul Williams Just an Old Fashioned Love Song [CD]
Just an Old Fashioned Love Song
- アーティスト: Williams, Paul
- 出版社/メーカー: East Central One
- 発売日: 2014/05/27
- メディア: CD
ポール・ウィリアムズは前回紹介したロジャー・ニコルとのコンビで書いた「We've Only Just Begun」「Rainy Days And Mondays'」がカーペンターズによって大ヒットしたことで、最初に作詞家として知られる、ソロ・デビューはロジャーが全面でバックアップした「Someday Man」は名盤ではあるが、ほとんどポールのアルバムで、本人のポールは手応えがなかったようだ、しかしロジャーとの作業を通じて作曲を学び本作のセカンド・アルバム「Just an Old Fashioned Love Song」では単独で7曲も書き上げ、ソングライターとして成果がでることになる。このアルバムは楽曲の良さとシンプルなサウンドの良さに寄り添うようなヴォーカルで成り立っている。バックのメンバーは、前にも紹介したデビッド・スピノザ(g)をはじめとしてクレイグ・ダーキー(p)ラス・カンケル(ds)リーランド・スクラー(b)で見事なサウンドに仕上がりになっている。
「We've only just begun」ポールとロジャーの共作、カーペンターズに提供した曲をセルフ・カヴァーしたもの。
「I Never Had It So Good」ポールとロジャーの共作、リタ・クーリッジやバーバラ・ストライザンドもカヴァーした名曲。
「Let Me Be The One」ポールとロジャーの共作、カーペンターズ、ダイアナ・ロス、アン・マレーがカヴァーしている。
「An Old Fashioned Love Song」スリー・ドッグ・ナイトがカヴァーし、ヒットした名曲。
Roger Nichols & The Small Circle of Friends [CD]
コンプリート・ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2016/06/22
- メディア: CD
ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズが68年に発表した唯一のアルバム。リリース当時はセールスがともなわず、グループは解散となったが、後に“ソフト・ロックの聖典”として評価された作品。ロジャー・ニコルズは後にシンガーソングライターのポール・ウィリアムズと組み、カーペンターズやスリー・ドッグ・ナイトのヒット曲を作曲している。
68年の作品なので、後追いで聴き、ロジャー・ニコルズの才能に驚き、今聴いても決して古びた音楽ではない。66年のビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」のブライアン・ウィルソンの華麗な音作りやバンクーバー・サウンドなどに誘発されて、ロジャー・ニコルズたちが新しいポップスを追及したのがこのアルバムである。ストリングスとコーラスワークが秀逸のアルバムで、前に何回か紹介したニック・デカロもストリングス・アレンジを担当している、さらにこのアルバムでは、ビートルズ、バート・バカラック&ハル・デイヴィット、ジェリー・ゴーーフィン&キャロル・キングなどのカヴァーをしているのだが、そのセンスも抜群です。
「Don't Take Your Time」アルバムの1曲目、ロジャー・ニコルズの才能とグループの魅力が解かるもの。
「Love So Fine」軽快なリズムにのったリンダ・マクレオードの歌声が良い。
「I'll Be Back」ビートルズのカヴァー、センスもアレンジも抜群。
「Snow Queen」ジェリー・ゴーーフィン&キャロル・キングのカヴァー、コーラスワークスとストリングスが最高。
桃姫BAND 初陣 (UIJIN) [CD]
1992年に謎の女性ヴォーカリスト、桃姫を中心に名だたるミュージシャンをメンバーに結成された日本のロックバンドを結成。メンバーは、O崎A美によく似ているが碧眼に金髪の桃姫、鈴木茂、佐藤準、松武秀樹、小原礼、今剛、富田素弘、山木秀夫。1992年にノエビア化粧品のCMタイアップ曲のシングル「Heart of Glass」でデビュー。同年カバーアルバム「初陣 (UIJIN)」を発表。翌1993年には映画「教祖誕生」のテーマ曲「神様お願い」をリリース。この作品では同映画の音楽担当、元チェッカーズの藤井尚之がサックスで参加している。ライブではギタリストのBuzz Feitenがゲスト参加した。
ボーン・トゥ・ビー・ワイルド(ステッペン・ウルフ). ハイウェイ・スター(デープ・パープル)、 ハート・オブ・グラス(ブロンディ)、サムバディ・トゥー・ラブ (ジェファソン・エアプレイン)ホット・スタッフ(ドナ・サマー)ネヴァー・マイ・ラブ(アソシエイション)オールド・ファッションド・ラヴ・ソング( スリー・ドッグ・ナイト)、ロックンロール(レッド・ツェッペリン)のカヴァーで、アレンジも含めて尾崎亜美のミュージシャンとしての力量に驚き、日本のJ-POPシーンを支えてきたスタジオ・ミュージシャンのテクニックの素晴らしさを痛感しました。
「ハート・オブ・グラス」彼女の作詞で日本語になっています。
「ハイウェイ・スター」ハードロックを歌っても上手いです。
大滝詠一 Best Always [CD]
レーベルを越えて、世紀を越えて、大瀧詠一の音楽活動をいいとこどりで総括できる2枚組の合計35曲を収録した初のベスト・アルバムが2014年にリリースされた「Best Always」である。2013年12月に急逝した大滝詠一、未発表の本人歌唱による「夢で逢えたら」も収録。
長い間、表舞台に顔を全面に出さずに、作曲家、編曲家、プロデューサー、エンジニア、レコード・レーベルのオーナー、ラジオDJ,などの多彩な肩書と、とにかく凄い音楽家のイメージが先行した大瀧詠一のはっぴいえんどからの歌手としてを改めて聴けるアルバムで特にシングル盤をメインにしたものである。前半の70年代からの作品から選曲してみました。
「ナイアガラ・ムーン」75年のセカンド・アルバムから「Niagara Moon」からで映画「イン・ザ・プール」のテーマソング用ミックスから収録。
「夜明け前の浜辺」山下達郎、伊藤銀次、大瀧詠一の3人による76年のリリースのオムニバス・アルバム「Niagara Triangle Vol.1」の収録曲。
「幸せにさよなら」アルバム「Niagara Triangle Vol.1」から伊藤銀次の作曲、作詞、編曲で3人が交互に歌い分けるヴァージョンでシングル・カットになった。
「the very thought of you」ナイアガラ・レーベル唯一の女性歌手、シリア・ポールのソロ・アルバム77年リリースの「夢で逢えたら」の収録曲、ビング・クロスビーなど多くの歌手歌われたスタンダード曲。
「真夏の昼の夢」1年12か月を月ごとにテーマにした曲で構成されたアルバム77年リリースの「ナイアガラ・カレンダー」、その8月の歌。
「ブルー・ヴァレンタイン・デイ」アルバム「ナイアガラ・カレンダー」その2月の歌。
「夢で逢えたら」大瀧詠一の名曲、数多くのカヴァーを生んだ曲。その作者本人の歌唱の未発表ヴァージョン。
橋本一子 VIVANT [CD]
YMO「Technoipolis」ツアーで矢野顕子の出産で代わりに参加、藤本敦夫とのユニット、Colored Musicでの活動等で知られるジャズ・ピアニスト/コンポーザー/ヴォーカリストの橋本一子による1986年発表の3枚目のソロ・アルバム「VIVANT」。ソロアルバムをリリースする一方、谷山浩子のアルバム・プロデュースや渡辺香津美MOBOバンドへの参加をはじめ、多数のアーティストと競演、映画、CMの音楽担当のほか声優、映画出演や小説執筆など活動範囲は多岐にわたる。 ジャズやクラシックを現代音楽のポップスにするそのアプローチはそのルックスからは想像できないサウンドで衝撃的だった。ピアノもヴォーカルも独自のスタイルを持ち、その個性は強烈な物だった。
「遊園地の恋」アルバムの1曲目、美しいピアノのワルツ。
「D.P」彼女の代表曲の一つ。打ち込みとピアノとヴォーカルの尖ったサウンドは今聴いても新しい。
「エキセントリックな美女」彼女のヴォーカルを堪能出来る曲。
渡辺香津美 Monday Blues [CD]
渡辺香津美の当時21歳だった時にリリースしたセカンド・アルバム「Monday Blues」。渡辺香津美(g)土岐英史(as,ss)板橋文夫(p)岡田勉(b)日野元彦(ds)による編成。17歳でリーダー・アルバムを出す早熟ぶりを見せ、76年にはスイング・ジャーナル誌における日本のジャズメンの人気投票において前年の1位の増尾好秋を抜いて1位に選ばれた、75年にリリースされた「Monday Blues」は渡辺香津美の初期の代表曲の一つで、ジャズ・ギタリストとしての人気も感じさせる。そのプレイは21歳とは思えない堂々としたもので、テクニックも抜群、フレージングのセンスも抜群、魅力的なアドリブを展開し、ジャズらしい中低音を生かしたプレイは圧巻である。彼はロック・ギターの手法も演奏するのだがこのアルバムでは比較的オーソドックスなジャズを演奏している。
「Monday Blues」渡辺香津美のオリジナルでブルースからのアドリブを展開しソウルフルでスケールの大きいギター・プレイを見せてくれる、板橋文夫のピアノ・ソロも聴くことが出来る。
「A Child Is Born」サド・ジョーンズが作曲した美しいバラード、岡田勉とのデュエット。
土岐英史カルテット TOKI [CD]
土岐英史、兵庫県神戸市出身のジャズサックス奏者。歌手の土岐麻子は長女。アルトサックスとソプラノサックスを演奏。ジャズ、フュージョン、R&B、ジャパニーズポップスなど、幅広いジャンルで活躍。 山下達郎のバッキング・メンバーの一人としても有名で、1977年から2011年まで山下のツアーに参加していた。現在、山下のツアーに参加している宮里陽太は土岐の弟子。
75年初リーダー・アルバム『TOKI』を発表、土岐英史カルテットのメンバーは、渡辺香津美(g)井野信義(b)スティーブ・ジャククスン(dr)この日のレコーディングは4人全員が充実していいて、1曲目がテイク2,後の曲は全てテイク1でOKしたという、セッティングから終了までは4時間足らずで今なお破られていないスリー・ブラインド・マイス録音史上の最短記録。後のチキンシャックや山下達郎の活動の原点である。
「サニーがブルーになったとき」
「Lullaby for the girl」
おまけで、土岐英史 土岐麻子 の親子の共演。
Sooo Baad Revue [CD]
関西ブルースシーンから登場した、SOOO BAAD REVUE、75年に結成され、76年にアルバム『SOOO BAAD REVUE』でレコードデビューしているのだが、彼らのスタジオ録音はこれだけで、76年の暮れに解散、その後77年に発売のライヴ盤『LIVE!』を含めても世に出たアルバムはわずか2枚だけである。オリジナルメンバーは山岸潤史(Gu)、石田長生(Gu)、北 京一(Vo)、砂川正和(Vo)、永本 忠(Ba)、土居正和(Dr)、国府照幸(Key)、チャールズ清水(Key)の8名で、山岸は日本で最初の本格的ブルース・バンドのウエスト・ロード・ブルース・バンドのメンバーで浪花のジミヘンと言われ、石田と土居は1971~1972年に上田正樹とバンドを組んでいるなど、関西の音楽シーンではある種のスパー・グループ的な集まりでした。レコーディングはロサンゼルスのエレクトラ・スタジオでメンバー8人と現地調達のホーン・セクションが参加している。関西のソウル・ブルース色が強いのかと思っていたら、当時の最先端の70年代のファンクのエッセンスを取り入れたソフィスティケートされた関西ファンクで他のどのバンドにも見られない個性的な存在だった。
「ソウル地下鉄 」ソウル・トレインを関西らしくもじった曲名の軽快なインスト。
「最後の本音」関西のソウルのスタンダード、この時まだ19歳だったという砂川の歌声。
「真夜中の歌姫」石田のボーカル、メロウで、どこかロマンチックな雰囲気を出している。
「What's Going On」ライブ・アルバムから石田の素朴なボーカルが味をだしている。