Irakere [CD]
「イラケレ(Irakere)」は、キューバのバンドで、ピアニストのチューチョ・ヴァルデースにより73年に結成された。ヴァルデースのほか、パキート・デリヴェラ(cl,as,fl)、オスカー・ヴァルデース(per,vo)、ホルヘ・ヴァローナ(tp)などのオリジナル・メンバーのほか、ホセ・ルイス・コルテス(fl)、セサル・ロペス(sax)らも参加している。「イラケレ」はヨルバ語で「菜食主義者」を意味する。79年のモントルーとニューポートのジャズ・フェスティバルにおいてキューバからやってきた無名のバンドが、壮絶な音楽を展開した、それは世界的に話題を呼んだ、それがイラケレだ。キューバ音楽史上に輝く伝説のグループのライブ・アルバム「Irakere」は79年にリリースし、そのとんでもなくすざましい演奏を収録したものだ。さらにグラミー賞Best Latin Recordingを受賞している。イラケレはアフロ・キューバン・ジャズとキューバの人気ダンス・ミュージックの両方で歴史的な革新を生み出し、バタドラム、アバクアドラム、アララドラム、シェケレ、エリクンディ、マラカス、クラベス、センセロス、ボンゴ、タンバドラ(コンガ)、ギロなどさまざまな打楽器を使用した。音楽的にアフロ・キューバンやジャズだけではなく、時にはクラシックのモチーフを用いることもあり、超絶テクニックを見せながらコミカルなプレイをしたりして観客を飽きさせないバンドだった。キューバという国の音楽の凄さを教えてくれるアルバムだった。
「Juana Mil Ciento」
「Ilya」
「Misa Negra (The Black Mass)」
Pablo Cruise Worlds Away [CD]
サンフランシスコ発の元祖サーフ・ロック・グループ、パブロクルーズ。アルバム・ジャケットのバンドのロゴがお洒落で、ハワイのバンドだと思っていた人も多かった。メンバーはデヴィッド・ジェンキンス (ギター、ボーカル)スティーヴ・プライス (パーカッション、ドラムス)ブルース・デイ - (ベース、ボーカル)コリー・レリオス -(ピアノ、キーボード、シンセサイザー、バッキング・ボーカル)。「ワールズアウェイ」は、78年にリリースした4枚目のアルバムで、彼らの最も成功したアルバムでした。前作「ア・プレイス・イン・ザ・サン」に続き、プロデュース&エンジニアに ビル・シュネーで、彼はミッシェル・ポルナレフ、TOTO、ボズ・スキャッグス、スティーリー・ダン、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース、シカゴ、オリビア・ニュートン=ジョン、ホイットニー・ヒューストン、など多数の大物アーティストの音楽作品にてプロデューサー、エンジニアとして活躍していて、日本では、オフコースの小田和正のレコーディング・エンジニアとして知られている。そういった流れから、本作にはTOTOのスティーヴ・ポーカロやマイク・ポーカロも参加しています。
「Worlds Away」
「Love Will Find A Way」
「Don't Want To Live Without It」
「Sailing To Paradise」
Seawind Reunion [CD]
ハワイにて、ドラマーのハーヴィー・メイソンより見出され、彼のプロデュースで、76年にデビュー、70年代に一世を風靡したシーウィンド、80年にリリースした4枚目のアルバム「海鳥」(ジョージ・ヂューク・プロデゥース)の後、活動を休止。アルバム「Reunion」はなんと29年ぶりに復活し、オリジナルメンバーが集結、2009年にリリースした作品となった。ポーリン・ウィルソンの爽やかでエモーショナルなヴォーカル、切れ味抜群の3菅編成のシーウィンド・ホーン・セクションのアンサンブルも健在で、当時の空気感も含め心地良い開放感のあるサウンドを聴かせてくれる。新作で目玉となり嬉しいのは、彼らの人気曲5曲がセルフ・カヴァーされた事、アレンジも一新され、新しいサウンドとなり聴けることだ。「He Loves You」ではゲストにアル・ジャロウを迎え、スリリングなスキャットのアドリブを聴かせてくれる。また新曲も7曲(ヴォーカル3曲/インスト4曲)を収録されている。
「He Loves You」
「Free」
「Everything Needs Love」
「Devil is a Liar」
おまけてオリジナルの「He Loves You」ジェリー・ヘイのフリューゲル・ホルンのソロが素晴らしい。
Panta & Hal 1980x [CD]
反体制の象徴的ロックバンドとして知られる「頭脳警察」のメンバーで、ソロでも活躍したPANTA(ぱんた、本名中村治雄)さんが7月7日、肺がんによる呼吸不全と心不全のため死去した、73歳。
今日はメッセージ性だけでなく音楽性も重視するという構想のもとで77年にパンタが結成したバンドPANTA&HALの80年にリリースしたセカンド・アルバム「1980x」です。前作「マラッカ」と同様、ムーンライダースの鈴木慶一プロデュース、犬猿の仲だと思われていた、旧頭脳警察派と旧はっぴいえんど派のコラボレーションは多くの関係者を驚かす出来事だった。「マラッカ」がタイトル通り東南アジアの赤道直下の海がテーマで、レゲエや、フュージョン的なサウンドを取り入れていたのに対し「1980X」は、テーマは「都市」。演奏は一転してソリッドなロックサウンドでした。その頃に台頭してきたパンク、ニュー・ウェイブの影響が融合したアルバムで、シングルカットされた「ルイーズ」は78年、世界初の体外受精で誕生した女の子の名前で、管理社会の危険性を切り取って見せていたり、そのメッセージ性は抜群でした。その後にソロ転向したパンタは他のアーティストへの楽曲の提供や、ジャンルを超えたアイドルのプロデュースなども手がけることになります。
ご冥福をお祈りします。
「トゥ・シューズ」
「ルイーズ」
「Audi 80」
「キック・ザ・シティ」
Black Uhuru Chill Out [CD]
ブラックウフルは72年に結成されたジャマイカのレゲエグループで、当初はブラック・サウンズ・ウフル(自由を求めるスワヒリ語)と呼ばれ、ローリング・ストーンズのヨーロッパ・ツアーで前座を務め有名になります。82年にリリースされた「Chill Out」はジャマイカのチャンネルワンスタジオで録音され、レゲエのリズムセクションで有名なドラマーのスライ・ダンバーとベーシストのロビー・シェイクスピアによってプロデュースされました。ジャマイカのセッショングループであるザレボリューショナリーズをフィーチャーし、その後のレゲエミュージックの古典と広く見なされています。ブラック・ウフルの最高傑作と言われたアルバム「Chill Out」のサウンドはレゲエの鉄壁リズム隊のスライ・アンド・ロビーの絶頂期に作られ、そのリズムは非常に密度が高く、サウンドがよりクリアでポップになり、レゲエを聴かない人もとっつきやすいアルバムとなりました。ボブ・マーリー無き後の80年代のジャマイカ・レゲエ・シーンを引っ張っていく存在となります。
「Chill Out」
「Darkness」
「Eye Market」
「Emotional Slaughter」
Cecilio & Kapono Elua [CD]
72年、ハワイで結成された男性ポップ・デュオ・グループのセシリオ&カポノ。フランク・ザッパのハワイ公演のフロント・アクトを務め注目を集めた。セシリオ&カポノのセカンド・アルバム「エルア」は75年にリリースされた。サーフロックというイメージが強いが、それだけではなく、その音楽性はラテンの譜割りをソウル・ミュージック的に解釈するなど、初期のドゥービー・ブラザースに近いものがある、その手法はホール&オーツの曲をカヴァーした「Goodnight And Goodmorning」からも、うかがうことができる。そしてセシリオ&カポノの一番の特長は二人のハーモニーの美しさである、さらに本作ではアコースティック・ギターを前面にだしているのも、彼ら本来の持ち味が出ていて、素朴でナチュラルなハーモニーとポップなロック・サウンドが調和したトロピカル・ムードのアルバムである。
「Goodnight And Goodmorning」
「I Am The Other Man」
「Someday」
「Summer Lady」
おまけでホール&オーツのオリジナル・バージョン「Goodnight And Goodmorning」いい曲です。
Kalapana Many Classic Moments [CD]
カラパナはマッキー・フィアリー(g,vo)、マラニ・ビリュー(g,vo)、D・J・プラット(g,vo)、カーク・トンプソン(key,vo)の4人でハワイで結成、75年にデビューした。ハワイ出身のシンガー・ソングライターのマッキー・フィアリー、マラニ・ビリューの2人が楽曲を提供し(特にマッキー・フィアリーは当時17歳でアルバム11曲中の7曲を書き早熟な才能を開花させている)、ハワイ育ちのロック音悪を広めた。本作は多くのサーファーやフィルムメイカー達に多大な影響を与えたレジェンドサーファー達が多数出演した伝説のサーフムービー「メニイ・クラシック・モーメンツ」のサウンド・トラックとして制作されたカラパナ通算4枚目のアルバム「メニイ・クラシック・モーメンツ」で78年リリースされた。映画のタイトル曲でもあるマラニ・ビリュー作&ヴォーカルの「Many Classic Moments」にマラニの代表曲「Naturally」カーク・トンプソン作&ヴォーカルで歌詞も素晴らしく全てを優しく包み込む珠玉のメロウグルーヴ「Down by the Sea 」D・J・プラットのソウルフルな歌声と疾走感のある演奏が心地良い「Sunny Days」等を収録している。実は「メニイ・クラシック・モーメンツ」2枚組オリジナル・サウンドトラック盤もあり、本来の劇中のナレーションやロンドン・シンフォニー・アンサンブルの演奏も収録しているために、本作はサウンドトラックであることをことさら強調していない。
「Many Classic Moments」
「Down by the Sea 」
「Sunny Days」
「Naturally」
おまけでMany Classic Momentsのサーフィン映画の映像
Phoebe Snow [CD]
フィービ・スノウは、ニューヨークで生まれ、黒人とユダヤの両親から生まれた、フォーク、ポップス、ジャズ、ソウル、ブルース、ゴスペルが四六時中流れる音楽家庭で育った。その影響からかフォーク・ブルースとジャズを融合させたユニークなデビューアルバム「フィービ・スノウ」が作られ74年にリリースされた、ビルボード5位のシングル・ヒットの「ポエトリー・マン」はグラミー賞の最優秀新人賞にノミネートされている。このデビューアルバムは、ニューヨークのセッション・ミュージシャンによってサポートされて作られている、ボブ・ジェームス(key)ラルフ・マクドナルド (per)スティーブバーグ(g)ズート・シムズ(sax)らが参加し、さらにデイブ・メイソン(g)とデヴィッド・ブロムバーグ (g)の参加はフィービ・スノウの音楽性の広さから来たものだろう。彼女の歌声に合わせた温かみのあるシンプルな演奏で彼女を支えている。名匠フィル・ラモーンズがコ・プロデュースをしているのも注目だ。
この後、75年のヒットシングル「Gone at Last」で共演したポール・サイモンや、ジャクソン・ブラウンとのツアーに同行して前座を務め、さらにポール・サイモンのヒット曲「恋人と別れる50の方法」には、ヴァレリー・シンプソン、パティ・オースティンとともにバッキング・ボーカルとして参加した。92年には前にも紹介したドナルド・フェイゲンの「ニューヨークロック&ソウルレビュー」ツアーに同行し、同バンドのニューヨーク・ビーコンシアターで録音されたライブ・アルバムにも登場した。
「Poetry Man」
「Good Times 」サム・クックのカヴァー。
「Take Your Children Home」
「Sither Or Both」
Rupert Holmes Singles [CD]
ルパート・ホームズのソロ3作目となる76年のアルバム「Singles」。マンハッタン・トランスファーやディオンヌ・ワーウィックなどもカヴァーした「Who, What, When, Where, Why」など天性のポップセンスが光る、他にもマーカス・ジョセフ、マック・デイヴィスが「I Don't Want To Get Over You」をエンゲルベルト・フンバーヂィングが「The Last Of The Romantics」をカヴァーするなどじつに良い曲が多数入っているアルバムである。収録曲全てがシングル・カットできるような、よりヒット・チャートを意識した作品が並んだアルバムで、劇場的なアレンジという彼の魅力が理想的な形として収められた完成度の高い内容でポップの名盤として数えられる傑作です。この後のアルバム「エスケイプ」 の大ヒットで築いた自身のサウンド・スタイルの原型が出来上がった作品でした。
「Who, What, When, Where, Why」
「You Make Me Real」
「Weekend Lover」
「Annabella」
Soul Survivors [CD]
ニューヨーク出身のリチャードとチャーリー兄弟とケニージェレマイアを中心に結成された、白人バンドのソウル・サヴァイヴァース。67年に「Expressway To Your Heart」がヒットするが、その後低迷し、一旦解散。メンバーを一新して復活し、74年にリリースした本作は、デビュー時から彼らを手掛けていた、名ソングライター&プロデュース・チームのギャンブル&ハフとメンバーによる共同作業に加え、新たにグループに加入したキーボード奏者のニール・ラーセンが作曲にも参加したのも影響し、一足早いにAORに変わっていた。ラスカルズの名盤「アイランド・オブ・リアル」にも影響を受けていると思える、この時ラスカルズのバジー・フェイトン(g)が参加していたが、ニール・ラーセン(key)ともフル・ムーンというバンドを組んでいたのだから当然のことかと思う。ちなみにスティーリー・ダンの「Hey Nineteen」の歌詞に登場する「The Sole Survivors」は彼らの事である。
「Start All Over」
「Everything's Changing」
「What It Takes」