Weather Report Live At Montreux 1976 [DVD]
ウェザー・リポートはジャズから発生しながらもエレクトリックの大胆な導入やワールド・ミュージックなどのアプローチなど、ジャンルを越えて様々な音楽を取り入れ、圧倒的なサウンドで時代の最先端にいたグループ。1976年に行われたモントルー・ジャズ・フェスティバルがいかに重要だということはベースのジャコ・パストリアスが加入して初めてのライブ映像だという事、ウェザー・リポートはジョー・ザビヌルとウェイン・ショターの2人が中心であったが、ジャコの加入により作曲も演奏もジャコの音楽面での存在が大きな要素となり、それによって白人のロックのファンも急激に増え世界各地で大きなコンサート・ホールを超満員するようになるほど結果的にバンドを変えてしまう。このライブはまだ発売されたばかりのアルバム「ブラック・マーケット」からの曲がほとんどであるが、ジャコが正式に加入して3ヶ月でこのバンドとしての完成度の高さは驚異的である。この5人メンバーで名作「ヘヴィー・ウエザー」を作るのだが、その足掛かりとなっているライブである事は間違いなく、そして最高のライブ作品でもある。
「Barbary Coast」ジャコがウェザー・リポートで最初に作曲したナンバー。
「Cannon Ball」ジョー・ザビヌルが4か月前に亡くなった恩師のジュリアン・キャノンボール・アダレイに捧げた曲、同じフロリダ出身ということでジャコを起用した話は有名。イントロのフレットレスのベースラインは傑作。
「Gibraltar」ジョー・ザビヌルの作曲で「ブラック・マーケット」と並ぶ名曲。
「Portrait Of Tracy」ジャコのデビュー・アルバムから、ベース・ソロ曲。ハーモニクス、フレイズの発想力どれも驚異的。
Jeff Beck: Performing This Week...Live at Ronnie Scott's [DVD]
Performing This Week-Live at Ronnie Scotts / [DVD]
- アーティスト: Jeff Beck
- 出版社/メーカー: Eagle Vision
- 発売日: 2009/03/30
- メディア: DVD
2007年11月27日から12月1日までの5日間、ロンドンのロニー・スコッツ・ジャズ・クラブで行われたライヴを収録。 65年にヤードバーズに加入して以来の長いキャリアにおいてジェフ・ベック本人名義の初めての映像作品。ジェフ・ベックは基本的にライブ映像を残すことを嫌がっていて、完璧主義者だからとか、色々な説があるが、この本作はライブの魅力をじゅうぶんに伝えてくれる素晴らしいものとなっている。特に客席も200人ほどの小さなクラブの為に全編を通してジェフ・ベックの手元が大写しになりピックを使わない指弾きの技、絶妙なアーミングなどの神業は芸術的で美しささえ感じてしまう。メンバーもヴィニー・カリウタ(dr)ジェイソン・リベロ(key)この作品で有名になったタル・ウィルケンフェルド(b)の演奏も素晴らしく、それがクールだったジェフ・ベックのイメージを変え、子供のように楽しい表情をしているジェフ・ベックに感動を覚える。ゲストでジョス・スイート、イモージェン・ヒープ、エリック・クラプトンのナンバーも収録、客席にはジミー・ペイジやロバート・プラントがいる映像も映っているのも見逃せない。「A Day In The Life」で、グラミー賞最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞を受賞している。
「Led Boots」やっぱりこの曲は外せないです。
「Scatterbrain」超高速リフ。
「Cause We've Ended As Lovers」タル・ウィルケンフェルド(b)のソロも見逃せない。
「A Day In The Life 」ビートルズのカヴァー。
「Little Brown Bird/You Need Love」マディ・ウォーターズのブルース・ナンバーの2曲。
Wild Cherry [CD]
ワイルド・チェリーの代表曲「Play That Funky Music」が新設のSweet Cityレーベルから登場したのは76年の夏の事、折からのディスコブームの波に乗って東部アメリカをディスコから中心に火が付き、一般ポップ・チャートも急上昇し、チャート首位を独走し世界中に広がっていくヒット曲になりました。中心人物のロブ・パリッシは、1960年代からプロのミュージシャンとして活動し、ワイルドな歌声とジェフ・ベックに傾倒するギター・ワークを持つ、作曲家でもあった。1970年頃に故郷オハイオ州でワイルド・チェリーを結成、ブルース・ロック、ファンク・ロックのキャリアを持つバンドだった。メンバーも白人のみで、白人ソウル/ファンク・バンドのスタイルから同世代のホワイト・ソウルのホール&オーツやアヴェレイジ・ホワイト・バンドやKC&ザ・サンシャイン・バンドなどと引き合いに出されることも多かった。同じオハイオのブラック・ファンク・バンドのオハイオ・プレイヤーズと同様のセクシー・ジャケットというアートワークで押し通してしいるのはホワイト・ソウルを隠すためとも言われている。ディスコブームの波に得をし、ディスコの衰退で損もした印象で、また「Play That Funky Music」が傑出した出来だったので一発屋の印象になってしまったのが残念である。
「Play That Funky Music」ワイルド・チェリーの大ヒット曲、ギターのリフがジェフ・ベックにチョット影響されていると思ったのは私だけ?
「99½」ウィルソン・ピケットの66年のヒット曲のカヴァー。
Marc Jordan Blue Desert [CD]
マーク・ジョーダンは、ニューヨーク生まれのカナダ人シンガー・ソングライター。79年にリリースしたセカンド・アルバム「Blue Desert」ジェイ・グレイドンがプロデュースを手がけ、特にジェイ・グレイドンのギターもたっぷり堪能出来るアルバムとなっています、同時期に名作アルバムのアル・ジャロウの「This Time」やマンハッタン・トランスファーの「Extensions」のプロデュースをして一番乗りに乗っている頃のジェイ・グレイドン、全曲がマーク・ジョーダンよる作詞・作曲でポップスとフュージョンの要素を巧みにブレンド、スマートで洗練したAORに仕上げている。ひたすらクリアで爽やかなAORサウンド、これらのサウンドを支えたのがエイブラハム・ラボリエル,ディン・パークス,マイケル・オマーティアン,ジェフ・ポカロ,ジム・ケルトナーなど、マーク・ジョーダンはソロ・アルバムの数は多くないが、このアルバムはAORの名作として高い人気と評価を得ているが、主役のマーク・ジョーダン以上にジェイ・グレイドンが注目されたアルバムでもある。
「Generalities」アルバムの一曲目、ジェイ・グレイドンらしい都会的なアレンジ、アニー・ワッツのサックスも良いです。
「I'm a Camera」レイ・パーカーJrのリズム・ギター、ジェイ・グレイドンのリード・ギターではベストとひとつと言われるソロです。
「Release Yourself」アルバムのハイライトを飾る一曲。マーク・ジョーダンのヴォーカルも、ジェイ・グレイドンのギターもノリに乗っています。
The Jamaica Boys [CD]
84年、マーカス・ミラー(b)レニー・ホワイト(dr)バーナード・ライト(key)の3人でニューヨークのクラブ・シーンに出没する事から始まる、バンド名も彼らが育った街(ニューヨクークのクィーンズ地区にあるジャマイカ)の名前をもらって「ジャマイカ・ボーイズ」に決まった。レニー・ホワイトは、マイルス・デイヴィスやリターン・トゥ・フォーエヴァーといったグループを経て70年代の中頃からソロの活動でブラック・コンテンポラリーのサウンドに力を入れていた、その頃まだ10代だったマーカス・ミラーとバーナード・ライトの才能に目をつけ自分のバンドに引っ張っている、こんな絆を持った3人に加わったのがマーク・スティーヴンス(vo)チャカ・カーンの実弟で元々はベーシストこの4人でレコーディングが始まる。(正式にはマーカス・ミラーとレニー・ホワイトとマーク・スティーヴンスの3人がメンバーでバーナード・ライトはサポートメンバーらしい)しかしシングル「(It's That) Lovin' Feeling」でデビューするのは3年後となってしまい、このアルバムがリリースされたのは88年となってしまった。
ジャマイカ・ボーイズの音楽性はR&Bとレゲエが根底にありファンクと溶け合ったサウンドで誰のものでもないジャマイカ・ボーイズのものとなっている。「People Make The World Go Round」はスタイルスティックスの72年のヒット曲だがオリジナルとはずいぶん違う物となっていてジャマイカ・ボーイズの音楽性がわかると思う。
「(It's That) Lovin' Feeling」
「Let Me Hold You Closer」
「People Make The World Go Round」
「Home」
Monty Alexander Cobilimbo [CD]
MONTY ALEXANDER/COBILIMBO(12"Analog 1978年盤)
- アーティスト: MONTY ALEXANDER
- 出版社/メーカー: MPS
- メディア: LP Record
ジャマイカ出身のピアニスト、モンティ・アレキサンダーがレゲエ、カリプソに挑戦したアルバム「Cobilimbo」77年にリリースされた、この後のピアノとスティール・パンとの名作「アイヴォリー&スティール」の先駆けとなったアルバム(CDになっていないのが残念)。とにかくスティール・パンとピアノのコンビネーションが最高です。メンバーも 前の2作のアルバムからずっと一緒のジャマイカ出身の凄腕 アーネスト・ラグリン(g)とリズム隊にも前作から変わらずアンディ・シンキキンス(b)とチャールズ・キャンベル(conga)フランク・ガント(dr)特にヴィンセント・テイラーのスティールパン前面に出したリラックスしたトロピカルな演奏のアルバム。ボブ・マーリーの「Jammin'」とジミー・クリフのの「Many Rivers to Cross」をジャジーにしたカヴァーした曲もあり、楽観的で生きる喜びを直接感情に訴えてくるモンティ・アレキサンダー達の演奏を熱い夏にカリプソを感じながらリラックスして聴いて楽しんでほしい。
「Out of Many People, One」
「Ripe Banana」
「Jammin'」
「Many Rivers to Cross」
The 24th Street Band Share Your Dreams [CD]
24丁目バンドのメンバーは、ハイラム・ブロック ( ギター、ボーカル)、クリフォード・カーター( キーボード)、ウィル・リー(ベース・ボーカル)スティーヴ・ジョーダン (ドラムス)の4人、24丁目バンド結成の発端は、77年のこと。ハイラムが参加していたデヴィッド・サンボーンの公演で急遽オープニング・アクトが必要になり、ハイラムが急造バンドを組んで出演することに、これが好評を呼んでレギュラー化。スティーヴが、米TV番組『サタデイ・ナイト・ライヴ』で一緒にハコバンをやっていたウィルを誘い、78年に24丁目バンドがスタートした(バンド名の由来は全員がNew YorkのThe 24th Streetに住んでいた為)。サイドメンや他人のレコーディングに疲れていた4人だったが、エネルギッシュでダイレクトに伝わるロックとファンクにポップな感性を吹き込んだ音楽性のバンドとなり周りをビックリさせるものだった。アルバム「Share Your Dreams」は完成度も高く、ハイテンションなサウンドが展開、彼ら独自のサウンドを作りあげた。24丁目バンドのライブを見ました、当時まだ誰も使っていなかったワイアレスをいち早く導入(まだワイアレスは完成度が低くデッドポイントがあり音が途切れることがあったので使われていなかった)客席になだれ込むハイラム・ブロック とウィル・リーとクリフォード・カーターを見て度肝を抜かれ、ライブの形がこれから変わっていくんだろうと思ったライブでした。
「New York City Strut」
「Not Too Much to Give」
「Share Your Dreams」
おまけで郷ひろみ with The 24th Street Bandの「My Lady 」バージョン、カッコイイです。この組み合わせでアルバムを出したんです。
John Tropea To Touch You Again [CD]
トゥ・タッチ・ユー・アゲイン[国内プレス盤 / 最新リマスター / 日本語解説付き / CDSOL-5677]
- アーティスト: ジョン・トロペイ
- 出版社/メーカー: SOLID/T.K.RECORDS
- 発売日: 2019/05/15
- メディア: CD
前回紹介したマイケル・フランクスのサード・アルバム「Burchfield Nines」全曲で素晴らしいギター・プレイを聴かせてくれたジョン・トロペイ。彼のサード・アルバム「To Touch You Again」は79年にリリースされた、このアルバムは前の2作のより多彩で洗練されたアルバムで、個人的には彼の代表作だと思っている作品です。ジャズ、ロック、ソウル、R&Bといった幅広い音楽をニューヨークのトップ・セッションで鍛えられたジョン・トロペイのギター・サウンドはブルージーであったり、温かみがあったり、ジャズやロックのフィーリングがあったりと多彩で洗練され、歌心があって、良く歌っているギターなので、是非とも聴いてほしい。参加メンバーは前の2作と同じウィル・リー(b)、スティーヴ・ガッド(ds)、リック・マロッタ(ds)、ドン・グロルニック(key)、マイケル・ブレッカー(ts)、デヴィッド・サンボーン(as)、レオン・ペンダーヴィス(org)などで息の合った素晴らしい演奏を聴かせてくれている。
今回は新たにスタッフのリチャード・ティー(key)と後にアメリカでR&Bの代表するシンガーとなるルーサー・ヴァンドロス(vo)とキース・リチャードのミュージカル・ディレクターとなるスティーヴ・ジョーダン(ds)が参加しR&B的なサウンドも聴かせてくれます。
「Living in the Jungle」ジョン・トロペイの作曲、ドラムのスティーヴ・ジョーダンの独特なファンキーなビートとルーサー・ヴァンドロス達のコーラスが光ります。
「In This Time」ジョン・トロペイの作曲、ジョン・トロペイのアルバムと言えば、スティーヴ・ガッド(左)、リック・マロッタ(右)の強力ツイン・ドラムが目玉の一つです。
「You're My Every Need 」リチャード・ティーの作曲、いかにもリチャードらしい曲に乗ってジョン・トロペイのギターが歌っています。この曲もツイン・ドラムです。
Michael Franks Burchfield Nines [CD]
ファースト・アルバムは「アート・オブ・ティー」(岡倉天心の「茶の本」からインスパイアされてタイトルをつけたほど親日家)はジャージーなエッセンスが満ち溢れたアルバム、セカンド・アルバム「スリーピング・ジプシー」ではブラジリアン・エッセンス取り入れ、2作共に音楽を越えて芸術の域まで達したと言われるほどの名作で、独自の音楽性を確立したマイケル・フランクス。78年にリリースされたサード・アルバム「Burchfield Nines」プロデューサーのトミー・リピューマは変わらないが、アレンジャーはニック・デカロやクラウス・・オガーマンに変わって、ブラジル出身のピアニストのエウミール・デオダードを起用、代表作「ツァラトゥストラはかく語りき」などがあり、アレンジャーとしてもミルトン・ナシメントからアース・ウィンド&ファイアーまで手掛けている。バックのミュージシャンもクルセーダースを中心としたミュージシャンからニューヨクークの凄腕ミュージシャン達に変わり、そのいぶし銀のプレイでマイケル・フランクスのヴォーカルをサポートしたサウンドは、何年たっても飽きる事もなく古さも感じさせない。
「When the Cookie Jar Is Empty」アルバムの一曲目、マイケル・フランクスのメロウなヴォーカルに癒されてしまう。
「A Robinsong」ファースト・アルバムの名曲「エッグプラント」を連想する事が出来る。とってもマイケル・フランクスらしい曲。
「Meet Me in the Deerpark」マイケル・フランクスが東京の日枝神社で結婚式を挙げ、新婚旅行で訪れた奈良公園からヒントを得て作られた曲。
Phoebe Snow Never Letting Go [CD]
彼女の歌声は、うなるようなブルース調の低音から4オクターブ以上の音域を持っていると表現されたフィービ・スノウ、74年にフォーク・ブルースとジャズを融合させたユニークなデビューアルバム「Phoebe Snow」はアメリカ国内で100万枚以上を売り上げシングル「Poetry Man」がビルボードホット100のトップ5シングルにランクインした。75年のヒットシングル「Gone at Last」で共演したポール・サイモンや、ジャクソン・ブラウンとのツアーに同行して前座を務め、ポール・サイモンのヒット曲「恋人と別れる50の方法」には、ヴァレリー・シンプソン、パティ・オースティンとともにバッキング・ボーカルとして参加した。「Never Letting Go」は77年リリースの4枚目のアルバム、前作では西海岸の腕利きミュージシャンが大挙して参加、今回はニューヨークのスタッフのメンバーをはじめラルフ・マクドナルド、マイケル・ブレッカー、ウィル・リー 、ボブ・ジェームス 、ヒュー・マクラッケン 、パティ・オースティン などが参加、彼女の歌声に合わせた温かみのあるシンプルな演奏で彼女を支えている。この後に重い障害を持つ娘の育児の負担により、音楽活動に力が入らなくなり、この娘の養育が事実上、スノウを音楽業界での輝かしいキャリアから遠ざけることとなった。 92年には前にも紹介したドナルド・フェイゲンの「ニューヨークロック&ソウルレビュー」ツアーに同行し、同バンドのニューヨーク・ビーコンシアターで録音されたライブ・アルバムにも登場した。
「Never Letting Go」カール・デイヴィス、ユージーン・レコード、ウィリアム・サンダース、ジェラルド・シムスの共作のカヴァー。
「Something So Right」ポール・サイモンのカヴァー。ポール・サイモンとクインシー・ジョーンズの共作。
「Never Letting Go」スティーヴン・ビショップのカヴァー。
「We're Children」フィービ・スノウによる作詞作曲 。