Neil Larsen Jungle Fever [CD]
紀伊国屋ホールで、ALFA RECORD PRESENT「FUSIONFESTIVAL'78」で吉田美奈子とYMOのファースト・ライブを見に行った時に、このアルバム「ジャングル・フィーヴァー」のプロモーションのために初来日したニール・ラーセン&バジー・フェイトンのライブを偶然に見る事が出来て、当時としてはその斬新なサウンドに感動し、その後すぐにこのアルバムを買いました。名プロデューサーのトミー・リピューマによるニール・ラーセンのデビューアルバムは、ニール・ラーセンによる大胆なまでのオルガン・サウンドの多用、当時誰も見向きもしなかった電気オルガンいわゆるコンボ・オルガンを使い、それがかえって新鮮だった、またニール・ラーセンの片腕だったギタリストのバジー・フェイトンとのユニゾンプレイとギター・ソロも新鮮だった、彼のストラトキャスターによるロック的な歪んだ音色をベースにしながらも、ソウルやジャズから影響を受けた洗練されたフレージングやクリアーなトーンのプレイは、当時ラリー・カールトンのギブソン335によるセミー・アコースティックの音が一世を風靡していただけに特に新鮮だった、彼は後期のラスカルズのメンバーでもあった。他のレコーディングの参加メンバーは、ベースのウィリー・ウィークス、彼はダニー・ハザウェイの大名盤「ライブ」に参加しこの後にドゥービー・ブラザースの一員とした活躍する名ベーシスト、ドラムのアンディ・ニューマークはボブ・ジェイムスのお気に入りのドラマーでもあるし、ジョン・レノンの最後のアルバム「ダブルファンタジー」で全ての曲を彼が叩いている名ドラマー、パーカッションはこのブログでも何回か紹介したラルフ・マクドナルドの5人が中心となり、サックスはマイケル・ブレッカーとラリー・ウィリアム、トランペットとホーン・セクションはシーウィンドのジェリー・ヘイが参加している。
オルガンによる独自のアプローチと個性的ななフレーズ、親しみやすいメロディーと憂いを帯びたメロディー・ラインは深い印象を刻むもので、このアルバムを耳にした人から口コミで広がっていったアルバムである。
「Sudden Samba」
「Jungle Fever」
「Windsong」
「Last Tango In Paris」
Supertramp Breakfast In America [CD]
イングランド出身のロックバンド「スーパートランプ」、リック・デイヴィスとロジャー・ホジソンの2人が中心のバンドで70年にデビュー、デビュー当初は大きなヒットに恵まれなかったが、ロジャーとリック以外のメンバーを一新し、段々とプログレ色を薄めていき、イギリスでは着実に注目を集めていく、77年にアメリカにターゲットを移し、ロサンゼルスを本拠地として活動、よりポップなサウンド作りをめざし活動、通算6枚目のアルバム、79年にリリースした「Breakfast In America」で初めてのアルバム・チャートのトップに立つ、ドゥービー・ブラザーズのアルバム「Minute By Minute」を抜きトップになり通算6週間トップなる大ヒットとなる。ロジャーの繊細なハイトーンを生かした幻想的な楽曲と、リックの力強い低めの声を生かした比較的ブルージーな楽曲の対比がバンドの音楽性に幅を持たせ、実に良質なポップなセンス満ちていて、それはブリティシュ・ポップのエッセンスを極めたものと言っていいだろう。
「Breakfast in America」スーパートランプと言えばこの曲でしょう。
「Goodbye Stranger」シングル最高位15位となる。
「The Logical Song 」シングルとして初めて最高位6位の大ヒットとなる。
Herbie Hancock Future Shock [CD]
83年に当時最先端であったヒップ・ホップを大胆に導入して作りあげたハービー・ハンコックの傑作アルバム「Future Shock」、ヒップ・ホップとは、グラフィティ(落書き)アートとブレイク・ダンス、ラップとスクラッチをメインとする音楽に集約されるもので、まだまだ一般的に知られていなかったが、このアルバムのヒットにより爆発的にヒップ・ホップ・ムーブメントが注目される、ヒップ・ホップの要素を用いての初めてのビック・ヒットがハービー・ハンコックなので彼がパイオニアと誤解されているが、マルコム・マクラレンが最初で、ハービー・ハンコックがマルコム・マクラレンをラジオで聴きこれだと直感し、当時ニュー・ヨークでヒップ・ホップの創始者ひとりだったビル・ラズウェル率いるマテリアルがプロデューサーとして参加、彼らの実験的な音楽アイデアを元に製作され、ビル・ラズウェルらが作りあげたサウンドを聴いたハービー・ハンコックはその新鮮さにショックを受け、まさしくフューチャー・ショックだったと語っている。ハービー・ハンコックはヒップ・ホップのエッセンスを見事に切り出し、取り入れた彼のセンスの良さは流石と言うしかない。
「Rockit」MTV時代とも重なりビデオ・クリップも大きな話題になる。ターン・テーブルを担当した D.STのスクラッチもヒップ・ホップ・ムーブメントの創始者のひとりだ。
「T.F.S.」ハービー・ハンコックとマテリアルの2人のビル・ラズウェルとマイケル・バインホーンの演奏。
Material One Down [CD]
ハービー・ハンコック『フューチャー・ショック』のプロデュースでも知られる、ビル・ラズウェルとマイケル・バインホーンによる音楽プロジェクト「マテリアル」、82年にリリースされたマテリアルのセカンド・アルバム「One Down」。70年代にニュー・ヨークの実験音楽シーンに触発されていたジャズベーシストのビル・ラズウェルは80年代に入るとその頃最も新しい音楽のヒップホップ・ミュージック・シーンに合流し、スクラッチやエレクトロニクスを駆使した作品を創り出していく、マイケル・バインホーンは、その後にサウンドガーデン、エアロスミス、オジー・オズボーン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズを始めとするロック界のアイコンたちのプロデュースを数多く手掛け、その特長のひとつに「巨大なギター・サウンドの壁」を表現し成功する。本作はブラックコンテンポラリー界からナイル・ロジャース、メジャー・デビュー前のホイットニー・ヒューストンなどが参加し、翌年のラズウェル / マテリアル全面バックアップによるハービー・ハンコックのアルバム『フューチャー・ショック』でのスクラッチやエレクトロニクスを駆使したヒップホップの名盤として高い評価を受け、グラミー賞を受賞する、その布石となったアルバムで、 全面でファンク・チューンが展開するが、アーチー・シェップ、オリバー・レイク、フレッド・フリスらの参加により、単なるメジャー系の音作りに終わらせていない当時のハイブロウな高密度なファンク・ワールドが展開されている。
「Take A Chance」
「Come Down」 (Feat Bernard Fowler and Nile Rodgers)
「Time Out 」
「Memories」(Feat Whitney Houston)
Jim Messina Oasis [CD]
ジミー・メッシーナは60年代後半のロック・シーンに登場して以来、バッファロー・スプリングフィールド、ポコ、そしてロギンス&メッシーナで活躍。76年からソロ活動をしている。曲作りはもちろんのこと、ベースとギター、ヴォーカルをこなし、エンジニアやプロデュースも手がけるというマルチな才能の持ち主だ。79年にリリースされた「Oasis」はロギンス&メッシーナ解散後、3年ぶりに発表したソロ・デビュー作。自らプロデュースを手がけ、共作も含めて全曲がジミー・メッシーナの自作のナンバーだ。ロギンス&メッシーナ時代はポップス色の強いカントリーロックを聴かせてくれましたが、ラテン・タッチのライト・フュージョン調サウンドが心地好い1枚に仕上がっていて、AORの傾向が強い作品と言える。ギターの腕前も素晴らしく全曲ジミー・メッシーナが弾いているのも見逃せない。
「Seeing You」映画『なんとなく、クリスタル』(1981年)サントラにも収録されたAOR名曲。
「Do You Want To Dance」疾走感が心地好いナンバー。
「New And Different Way」この曲はファースト・シングルになり、米ACチャートの43位を記録した。
Joni Mitchell Court and Spark [CD]
Court and Spark by JONI MITCHELL (2004-08-23)
- アーティスト: JONI MITCHELL
- 出版社/メーカー: Elektra/Asylum
- メディア: CD
71年の傑作アルバム「Blue」でフォークの究極を描いたジョニ・ミッチェル、74年にリリースされた「Court and Spark」からジャズの要素を取り入れ始めた転換期のアルバムだが傑作でもある、フォークとジャズが絶妙な形でブレンドされていて特に、アコースティックのサウンドとの融合が試みられている、またLAのジャズミュージシャンを多く起用したウエストコーストサウンドでもある。ウィルトン・フェルダー、ラリー・カールトン、ジョー・サンプルといったクルセイダーズ人脈のほか、ロビー・ロバートソンやトム・スコット、ホセ・フェリシアーノ、この頃私的なパートナーだったドラムのジョン・ゲランまで参加し、さらにかつての恋人だったデイビィッド・クロスビーやグラハム・ナッシュまでがコーラスで参加しているのが恋多きミュージシャンであるジョニ・ミッチェルらしく、移り行く男女の恋愛の機微までも表現されている。ジョニ・ミッチェルの全アルバムの中でも、もっとも明るくて聴きやすいアルバム、この頃はまだヒット曲を考えていたアルバムでもある。この後にジャコ・パストリアスやウェイン・ショターと出会い、より大胆なサウンドへと進んで行く。
「Free Man in Paris」ジョニ・ミッチェルの代表曲の一つで、アサイラムレコードの創設者のデビッド・ゲフィンのことを歌っている。
「Help Me」シングル曲で7位になっている。
「Raised on Robbery」ジョニ・ミッチェルの歌うロックンロール。
THE CHIEFTAINS The Greatest History [CD]
アイリッシュミュージック界の最高峰バンド、ザ・チーフタンズの創設者/リーダー、パディ・モローニが2021年10月12日に死去。83歳でした。ご冥福をお祈りします。パディ・モローニはティン・ホイッスルとイリアン・パイプスに加え、ボタン・アコーディオンとバウロンの演奏を習得している。
50年以上に亘って世界を舞台に活躍を続けるザ・チーフタンズ。アイルランドの伝統音楽に近代的なアレンジを施し、コンサート・ホールで楽しめるように発展させた先駆者にして変革者であり、ロック/ポップス、クラシック、世界の民族音楽、映画音楽など、あらゆるジャンルとの融合を通して、アイルランド伝統音楽の魅力を世界中に伝えている。1976年に映画『バリー・リンドン』の音楽を担当、同作がアカデミー賞を受賞したことで世界に知られるようになる。共演者にはローリング・ストーンズ、ポール・マッカートニー、スティング、ジョニ・ミッチェル、ライ・クーダー、エルヴィス・コステロ、ヴァン・モリソン、パヴァロッティ、ロンドン交響楽団、矢野顕子、忌野清志郎、元ちとせ、新日本フィルなど、本作は彼らの結成55周年&5年振り来日公演を記念した最新ベスト盤。彼らが世界的に注目をされるようになった楽曲、グラミー賞受賞アルバムからの楽曲、彼らを尊敬してやまないロックアーティストとの共演作品などを彼らの長い音楽の歴史を語れるアルバム。
「O'Carolan medley」
「IRISH DANCE SET.Carlos Nuñez & The Chieftains.」
「The long black veil」
Angela Bofill Angie [CD]
アンジェラ・ボフィルが78年にリリースしたファースト・アルバム「Angie」はデイブ・グルージンとラリー・ローゼンの2人が立ち上げた独立レーベルGRPの記念すべき第1号のアルバムでもある。
アンジェラはニュー・ヨーク生まれ、マンハッタン音楽学校とハートフォード音楽院でジャズを学び、リカルド・モレーロ楽団でラテンを歌い、その後ジャズの巨匠ディジー・ガレスピーやキャノンボール・アダレイに認められ共演、ダンス・シアター・オブ・ハーレム・コーラスのソロ歌手と作詞・作曲・指揮を務めてきた。そんな経歴の彼女のファースト・アルバム「Angie」はオリジナルの8曲うち半数の4曲が彼女の作品であるのが見逃せない、パティ・オースティンであったり、 アレサ・フランクリンであったり、素晴らしいヴォーカリストの中にはソングライターとしても優れた才能を発揮する人は少なくないがアンジェラもそんな存在である、彼女の歌声も新人でありながらどんなジャンルでも対応できるクリアな声と、のびやかな表情を感じられる魅力的なアルバムである。
「Under The Moon And Over The Sky」アンジェラ・ボフィルの作曲、デイブ・グルージンのアレンジ。
「Baby I Need Your Love」アンジェラ・ボフィルの作曲。
「This Time I'll Be Sweeter」シングル曲でR&B部門で20位を記録、できたててのレーベルで新人アーティストを考えるとこの上ない数字である。
「Children of the World United」アンジェラ・ボフィルの作曲。
Lakeside Fantastic Voyage [CD]
FANTASTIC VOYAGE+2 (最新リマスター、新規解説、歌詞、ボーナス・トラック付)
- 出版社/メーカー: SOLAR RECORDS/OCTAVE-LAB
- 発売日: 2019/01/23
- メディア: CD
ウィスパーズの大ヒット曲「ビート・ゴーズ・オン」をウィスパーズのメンバーのレオン・シルバーズらと共作し、同曲でキャッチーなリズム・ギターを弾いていたスティーブン・ショックリーが率いるグループがレイクサイドだ、彼以外にもグループの全員が作曲・作詞ができ、ウィスパーズのアルバム作りに協力していたという、そんなゴスペルルーツがしっかりした実力派のグループのデビュー・アルバム「Fantastic Voyage」は81年にリリースされた。アルバムもシングル「Fantastic Voyage」も発売と同時にソウル・チャートで1位になるのも納得ができる内容で、にわか仕込みのグループではなくゴスペルルーツのしっかりしたコーラス・グループでもあることが大きな魅力でもある。
ヘビー・ファンクの「Fantastic Voyage」もよいが、バラードも出来も良く、ボーカル・グループのファンにもお勧めできる出来となっている。
「Fantastic Voyage」
「I Need You」
「Say Yes」
おまけで、ウィスパーズの大ヒット曲「And The Beat Goes On」
NITEFLYTE [CD]
マイアミ発のユニット「ナイトフライト」キューバ出身のサンディ・トレノ(g,vo)と地元マイアミ生まれの黒人シンガー、ハワード・ジョンソンの2人が79年に結成したユニット。当時サンディ・トレノはブレッカー・ブラザースの「Don't Stop The Music」にギタリストとして参加したり、ジョニー・ウィンター、ジョーベック、ナラダ・マイケル・ウォルデン、ラリー・ヤングなどと交流していた。
79年にリリースしたファースト・アルバム「NITEFLYTE」に参加したミュージシャンは、ブレッカー・ブラザースの2人とデヴィッド・サンボーン、アヴェレージ・ホワイト・バンドのヘイシュミット・スチュワートとスティーヴ・フェローニとブレインストームのラモント・ジョンソンなどと豪華メンバー。サンディとハワードのマイアミ発らしい亜熱帯のトロピカル・メロウ路線の歌声が最大の魅力で、洗練されてはいるが、ニュー・ヨークやロサンゼルスよりはおおらかなサウンドとなっている。「If you want it」はナイトフライトのヒット曲でもあり代表曲で、その存在感は抜群のでき、80年に山下達郎と吉田美奈子のFM番組のスタジオ・ライブでもソウル系の隠れた名曲ばかりがチョイスされカヴァーした中に「If you want it」も選ばれた。「If you want it」のイントロのギターのカッティングをヒントにして山下達郎の「SPARKLE」のギターのカッティングが出来たといわれています。次のアルバム「ナイトフライト II」にはSMAPの「がんばりましょう」の元ネタになった曲も入っています。
「If you want it」
「Get On The Fun」
「I Wonder」
おまけで山下達郎/吉田美奈子のFM番組のスタジオ・ライブから「If you want it」のカヴァー。