Randy Edelman Prime Cuts [CD]
80年代「ツインズ」や「マスク」など、数多くの映画音楽を手がけ、現在ハリウッドで活躍するランディ・エデルマン、音楽学校で学んだのちにブロードウェイ・オーケストラのピアニストとした活動、72年から10年間はシンガー・ソングライターとして活躍、彼の代表作と言われるサード・アルバム「Prime Cuts」は74年にリリースされた。プロデューサーにビリー・ジョエルの「Piano Man」やケニー・ランキンの「Silver Morning」などを手がけたマイケル・スチュワートが担当し、ランディ・エデルマンの素朴な魅力を損なわないロマンティックな仕上がりとなっている、さらにニック・デカロの流麗なストリングス・アレンジは、ランディ・エデルマンが紡ぐ美しく切ないメロディとピアノの物優し気な音と混ざり合い素晴らしい効果を出している。アル・クーパー、マイケル・オマーティアン、ウェルトン・フェルダー、ディーン・パークス、ゲイリー・コールマン、トム・スコット、ジョン・ガーリンといった豪華ゲストが参加し、名曲の「Bluebird」や「Isn't It A Shame」を初め、その後映画音楽を手掛けるだけあって映画のワンシーンのような素晴らしい曲がいくつも散りばめられたこのアルバムは知る人ぞ知るといった感じのマニアックな作品になっているようですが、隠れた名盤だと思います。
「Bluebird」
「Isn't It A Shame」
「You Are The Sunlight-I Am The Moon」
「Where Did We Go Wrong?」
「June Lullaby」
太田裕美 こけていっしゅ [CD]
「こけてぃっしゅ」は、77年に発表された太田裕美の6枚目のアルバム。全作詩:松本隆 全作曲:筒美京平のトータル・コンセプト・アルバム、フォーク・ソングぽさから抜け出し、A面をGIRL SIDE、B面をLADY SIDEとし、少女から女性への変化を、爽やかなサウンドに乗せコケティッシュに描いているのが本作の名盤たるところ。松本隆と筒美京平のコンビによる「木綿のハンカチーフ」が爆発的に売れたあとの太田裕美の全盛期の作品ですが、筒美京平ファンから、最高傑作と呼び声高い作品。後の松本隆による松田聖子の世界感は本作から始まったとも言われている。本作レコーディング時は喉を潰す直前で、声自体も絶好調、彼女の独特のファルセットを多用した歌唱法はさらに磨きがかかり、70年代のサウンドの良さが広がっているアルバム。
「夏風通信」
「恋愛遊戯」
「心象風景」
「自然に愛して」
「ロンドン街便り」
浜田麻里 Persona [CD]
浜田麻里13枚目のオリジナル・アルバム「Persona」96年にリリースされた。浜田麻里と言えばLOUDNESSの樋口宗孝プロデュースによるアルバム「Lunatic Doll〜暗殺警告」でメジャーデビューし、女性ヘヴィメタル・ハードロック・ヴォーカリストの旗手として注目を集め、当時のヘヴィメタル・ハードロックジャンルとしては異例とも言えるアルバム売り上げを誇っていた。87年にリリースした「IN THE PRECIOUS AGE」この頃から、初期に見られたヘヴィメタル・ハードロック色の強い曲調からポップさも取り入れた幅広い音楽性を表現し、ファン層をさらに広げていった。'89カネボウ化粧品 夏のキャンペーンソングのシングル「Return to Myself 〜しない、しない、ナツ。 」がオリコンチャート1位を獲得する。93年アルバム「Anti-Heroine」から3年ぶりの本作はイメージを一新し、ウィスパー・ヴォイスを駆使した歌唱法導入、シャウトは封印したが、本人がほぼ全曲で作曲に参加した事で、それまでにない大人の浜田麻里らしいポップでメロディアスなヴォーカル仕上がっている、それを具現化するバック・ミュージシャンも素晴らしく、リー・リトナーや、98年に亡くなっているAOR界の名ドラマーのカルロス・ヴェガ、ジョン・ロビンソン、ロッド・スチュワート・バンドのケヴィン・サヴィガー、ロビー・ブキャナン、ディーン・パークス、マイケル・ランドゥ、エブラハム・ラボリエルなどの豪華メンバーが参加しています。
「Luna Sympathy」作詞:浜田麻里 作曲:浜田麻里・藤井陽一 編曲:藤井陽一・浜田麻里・井上龍仁
「Hey Mr. Broken Heart」作詞:浜田麻里 作曲:浜田麻里・藤井陽一 編曲:藤井陽一・浜田麻里・井上龍仁
「Antique」作詞:浜田麻里 作曲:浜田麻里・増崎孝司 編曲:浜田麻里・井上龍仁
「Be Yourself」作詞:浜田麻里 作曲:浜田麻里・Joey Carbone 編曲:浜田麻里・鷹羽仁
「Soleil」作詞:浜田麻里 作曲:大槻啓之 編曲:大槻啓之・浜田麻里
おまけで「Return to Myself 〜しない、しない、ナツ。 」作詞:浜田麻里、作曲:大槻啓之、編曲:大槻啓之, Randy Kerber, Greg Edward
PIZZICATO FIVE Couples [CD]
ピチカート・ファイヴの初めてのフル・アルバム「Couples」は87年にリリースされた、細野晴臣プロデュースによりテイチクのノン・スタンダード・レーベルからデビューしたピチカート・ファイヴは、そこではアルバムを作ることなく、細野とテイチクとの契約満了により居続けることが出来なくなったため、再びアマチュアのバンドに戻ろうとしていた。細野の個人事務所「ミディアム」に籍を置かせてもらっていた、その後にピチカート・ファイヴの事務所「グレイテスト・ヒッツ」が設立され、アルバム「Couples」は打ち込みではなく全てスタジオ・ミュージシャンによるレコーディングとすること、ミキサーに吉田保(吉田美奈子の兄)を起用すること。基本的に小西が全てを手がけるということが決められた。小西は86年12月の最初の1週間を札幌の実家で作曲とデモテープ作りを行い、87年1月7日からレコーディングは始まり、約4週間で全てを録り終えた。当時はバンド・ブームとなる直前でソフト・ロック路線だった「Couples」は全く売れず、初代ボーカリストの佐々木麻美子とキーボードの鴨宮諒が脱退。作風は前作とはガラリと変わって、アメリカン・ポップへのリスペクトに満ちあふれ、ロジャー・ニコル、バート・バカラック、フィフス・ディメンジョンなどのオマージュが見え隠れしているアルバムで、この世界をすべて日本語で歌った事に意義がある。この世界を歌える佐々木麻美子は素晴らしいヴォーカリストだったのに残念である。90年代の日本において一世を風靡した「渋谷系」として人気がでるのは、この世界を歌える3代目ボーカルである野宮真貴になってからで、その音楽性のみならずルックス・ファッションがあっかたからである。
初期の作品「サマータイム・サマータイム」佐々木麻美子のバージョンがなかったので野宮真貴のバージョンです。
初期の作品「連載小説 serial stories 」佐々木麻美子のバージョンがなかったので野宮真貴のバージョンです。
「The Audrey Hepburn Complex」佐々木麻美子
「Lemon and Salt」佐々木麻美子
角松敏生 SEA IS A LADY [CD]
「SEA IS A LADY」(シー・イズ・ア・レディ)は、87年に発売された角松敏生のギタリストとプロデューサーとしての才能もみせつけた1作目のインストゥルメンタル・アルバム。全編通して、角松敏生のギターによるアルバムとなっており、サブタイトルに女性の名前を付けているのが特徴です。サウンドは角松敏生らしいかなりゴージャスな作りで、夏向けの企画物感はあるものの、内容はよくできできていて、 サウンドのヌケも良いし、ギターもあまり気負いがない感じで、ギタープレイを上手くまとめているし、カッティングのリズム・ギターも良い味をだしているし、決して テクニカルではないですがメロディアスで、角松敏生らしいギターを魅力的に表現したアルバムでした。今は亡き青木智仁(B)と村上ポンタ秀一(Ds)のリズム隊も良かったです。
余談ですが、昨日の日本テレビの番組「スッキリ」で最近の10代、20代の若者の新しい音楽の聴き方をやっていたのですが、10%から20%の人が、イントロをトバシテ聴く、間奏や楽器のソロもトバシテ聴く、歌だけを聴きたいからだそうです。一番凄かったのは歌のサビだけを聴くでした。映画を倍速で見るのはまだわかりますが、司会の加藤さん達もビックリしてました、作り手の方の気持ちを考えているのと聞かれても返答に困っていましたよ。今日紹介しているインストゥルメンタル・アルバムのアルバムとかどうなるのでしょうか?
「Sea Line "Rie"」
「Night Sight Of Port Island "Midori"」
「Sunset Of Micro Beach "Satoko"」
「Midsummer Drivin' "Reiko" 」
「Lovin' You "Sawako"」
「June bride」
彩恵津子 Passio [CD]
角松敏生バンドへのバック・コーラス参加でも知られ、クリアなハイ・トーン・ヴォイスが特徴の女性シンガー彩 恵津子の4thアルバム「Passio」は86年にリリースされた。ジャズ・フュージョン、TV番組から、シャ乱Q、松田聖子までを手掛けた売れっ子プロデューサー兼ギタリスト鳥山雄司のサウンド・プロデュースのもとに作られ、「東北新幹線」の山川恵津子のストリングス・アレンジ、作曲陣には桐ヶ谷 仁、「スペクトラム」の奥慶一、「東北新幹線」の山川恵津子、鳥山雄司、久保田利伸など、総合プロデュースは作詞家の巨匠、康 珍化。前作のアルバム「All I Need」ではLA録音でティム・ウエストン、カルロス・ヴェガ、ビル・チャンプリンらと共演し上質のAORを聴かせてくれた。本作は康珍化のプロデュースでよりエレガンスな女性をイメージし、洒落た雰囲気を作り上げ、作詞家らしい目線から本来の彩恵津子の魅力を出す事に成功している。
「永遠のモーニングムーン」は久保田利伸がブレイク前に作曲とデュエットを担当されている名曲です。
「Airport Dance」作詞:彩恵津子 作曲:桐ヶ谷 仁 編曲:鳥山雄司
「悲しくないのに」作詞:彩恵津子 作曲:奥慶一 編曲:鳥山雄司
「狼ガール」作詞:彩恵津子 作曲:彩恵津子、鳥山雄司 編曲:鳥山雄司
「永遠のモーニングムーン」作詞:彩恵津子、森田記 作曲:久保田利伸 編曲:鳥山雄司
「水辺の恋の物語」作詞:彩恵津子 作曲:亀井登志夫 編曲:鳥山雄司
「やわらかい雨」作詞・作曲:彩恵津子 編曲:鳥山雄司
杏里 Timely!! [CD]
「Timely!!」(タイムリー)は、83年に発売された杏里6枚目のオリジナル・アルバム。同じ事務所の後輩だった角松敏生をプロデューサーに制作されており、同年大ヒットを記録したシングル「CAT'S EYE」(本作はアルバム・ヴァージョン。シングルとアレンジが大きく異なる)と「悲しみがとまらない」を収録、自身初のオリコンアルバムチャート1位を獲得した。「オリビアを聴きながら」の杏里をダンサブルなポップ・シンガーに変身させたのは角松敏生に他ならない、前作「Bi・Ki・Ni」でアルバムA面の5曲を手掛けた角松敏生が、満を持して全編プロデュースを手掛け、角松敏生のサウンドへの美意識が貫かれた良質なAOR~ブラック・コンテンポラリーの作品は杏里との相性の良さを感じさせる。次のアルバム「Coool」でも角松敏生と杏里のコラボレーションのアルバムなのだがダンサブルなナンバーだけでなくバラード・シンガーとしての才能を目覚めさせたアルバムになっている。
「Cat's Eye」アルバム・ヴァージョン 作詞:三浦徳子 作曲:小田裕一郎
「Windy Summer」作詞・作曲・編曲:角松敏生
「悲しみがとまらない」作詞:康珍化 作曲:林哲司 編曲:角松敏生・林哲司
「Driving My Love」作詞・作曲・編曲:角松敏生
「Good-Night for You 」作詞・作曲・編曲:角松敏生
二名敦子 Loco Island [CD]
リゾート感溢れ、全編を佐藤博が編曲、録音スタジオはジョージ・ベンソン所有のマウイ・ラハイナ・スタジで録音された、二名敦子のセカンド・アルバム「Loco Island」84年にリリースされた。佐藤博、高中正義、安部泰弘、 村田和人、桜井哲夫が楽曲を提供、ハワイアンAORのミュージシャンのカラパナからはD.J.プラット(g)、ゲイロード・ホロマリア(key)、セシリオ&カポノからヘンリー・カポノ(g)等と日本からは櫻井哲夫(b)、鳥山雄司(g)、伊藤広規(b)、佐藤博(key)、村上"ポンタ"秀一(ds)やハーブ・オータ(ukulele)らも参加。スポーツドリンクのイメージソングとなった極上のサマー・キラー・ナンバー高中正義作の「カラパナ・ブラック・サンド・ビーチ」、ヘンリー・カポノ作ハワイアン・アコースティック・ソウル「ラハイナ・ミッド・サマー・クルージン」、波の音も心地よい佐藤博作のメロウなサマー・チューン「ブルー・キュラソー」クールな桜井哲夫作品「スピン・ドリフター」、マックスファクターのキャンペーンソング「渚のフェイム」映画「ビッグ・ウエンズデー」エンディングテーマに使われたビーマーズのカバー「ホノルル・シティ・ライツ」等、全編リゾート色の強い柔らかなな音色を目指しているアルバム。このコンセプトは82年から84年に角松敏生が杏里のサポートをしたリゾト・テイストの音作りを参考にしたものだと思われるが、杏里の都会的でダンサブルな路線は排除されていて、よりリゾート色の強いのが特長となっている。
「ブラック・サンド・ビーチ」
「ラハイナ・ミッド・サマー・クルージン」
「スピン・ドリフター」
「渚のフェイム」
「ホノルル・シティ・ライツ」
楠木恭介 Just Tonight [CD]
楠木恭介のファースト・アルバム「JUST TONIGHT」85年にリリースされた。コカ・コーラのTVCMなど1000本以上にも起用され、主にCM業界で活躍し誰もがその声を知る実力派スタジオ・シンガーの楠木恭介。柳ジョージ&レイニーウッドの後任ヴォーカリストに抜擢され、カシオペアのレコーディングや全国ツアー、世界ツアーに参加。角松敏生プロデュース『VOCALAND2』にも参加。また、作曲家としてSMAP、MISIA等へ楽曲提供。ジャニーズ系アイドルのヴォーカル・コーチも兼任している。東北新幹線の鳴海 寛がギタリスト/アレンジャーとして全面参加(その演奏は山下達郎「JOY」で聴ける)。日本のデヴィッド・T・ウォーカーとの異名を持つ鳴海のギターによる絶妙なサポートも味わうことが出来る、ジャパニーズ・アーバン・ソウルの隠れた名盤。
「Sugar Dance」作詞:内海鏡子 作曲:楠木恭介 編曲:鳴海 寛
「Come To Me Again」作詞:内海鏡子 作曲:楠木恭介 編曲:鳴海 寛
「For Our Love」作詞:JESSIE REIN 作曲:楠木恭介 編曲:鳴海 寛
東北新幹線 Thru Traffic [CD]
若くして天才と謳われ、山下達郎のPERFORMANCE 1988-1989ツアーでサポートを務め、ライヴアルバム『JOY』収録の「蒼氓」に自身のギタリストとしての頂点とも言える全身全霊を注いだ名演が記録された鳴海寛(日本のデヴィッド・T・ウォーカーとの異名を持つ)と、女性初のレコード大賞編曲賞を受賞し、総作編曲数1500曲を超える山川恵津子、鳴海寛と山川恵津子によるユニット『東北新幹線』の唯一となるアルバム「Thru Traffic」は82年のリリースされた。二人の天才が残したワン&オンリーのアルバムで、2人のヴォーカルと楽曲の良さだけでなく、職人技と云えるアレンジに舌を巻いた、とても上質なポップ・アルバム。当時2人はまったく無名で、この2人がアルバムをリリース出来たのは、当時彼らが八神純子のバックバンドであるメルティングポットのギターとキーボードであった、ということだけで、プロモーションは一切行われず、八神純子のライブで「今度、うちのバンドのエッちゃんと鳴海くんが一緒にアルバムを出しました」との紹介のもと、2曲程度披露したのが唯一だったそうです。アルバムには八神純子もコーラスで参加しています。山下達郎が、このアルバムを聞き、「ふたりをコーラスとしてツアーに参加してほしい」とのオファーしたとのことです。
「Summer Touches You」
「Up and Down」
「心のままに」
「September Vallentine」
「月に寄りそって」