YELLOW MAGIC ORCHESTRA Solid State Survivor [CD]
ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー(2018年リマスタリング)
- アーティスト: YELLOW MAGIC ORCHESTRA
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
- 発売日: 2018/11/28
- メディア: CD
YMOの2作目のアルバム「Solid State Survivor」YMOは東京の民族音楽で、流行の最先端のニューウェーブはロンドンではなく東京だと世界に発信する。アルバムも国外でのリリースを意識して制作されている。
オリコンチャートでは最高位1位を獲得、日本国内での売り上げは累計で102.1万枚を記録、日本国内での人気は圧倒的なものとなり、日本においてテクノポップというジャンルの先駆けとなるが、細野はようやく「ああ、(自分たちは)そうなんだ」と気がついたという。また本作は商業的な成功を狙っていたわけでもないため、リリース後ワールド・ツアーに出ていたYMOは、ツアー先で日本国内での本作のヒットの報を聞き驚いた。細野は「そういうことを意識しないほうが面白くできるから」とむしろ困惑したと回想している。
「Technopolis」東京の民族音楽の一つ歌謡曲からピンクレディーのサウンドを分析し、海外へのメッセージとして作っているにも関わらず、海外での反応は良くなかった、メンバーも民族の壁のようなものを感じたと言っている。歌謡曲は海外ではピンとくる音楽ではなく、良くわからないものらしいとメンバーも感じた。今でも洋楽のニュアンスを取り入れた山下達郎、竹内まりや、松原みきは受け入れられているが歌謡曲がヒットしたとあまり聞かないのもこの辺に理由があるのかもしれない。
「Behind The Mask」逆に海外での反応が良い曲で、ロックンロールだねと言われた曲、事実マイケル・ジャクソンが歌詞を付けて歌っているし、エリック・クラプトンもカヴァーしている、彼らの感性から全く別物の作品になっているのも面白い。
マイケル・ジャクソンの「Behind the Mask」
エリック・クラプトンの「Behind the Mask」
KYLYN LIVE [CD]
渡辺香津美と坂本龍一が79年2月六本木Pit Inで、ウィークリー・セッションをプロデュースするのがきっかけで、ありとあらゆるジャンルから、ミュージシャンが集まった、このプロジェクトの誕生の地六本木Pit Inでの模様を録音したのが「KYLYN LIVE」で、ライブ・バンドのパワーとエネルギーが凝宿されている。
全員がリーダー・アルバムを発表している若いトップ・ミュージシャンの集合体でメンバーは渡辺香津美(g)坂本龍一(key)矢野顕子(key,Vo)村上秀一(dr)小原礼(b)向井滋春(tb)本多俊之(A,sax)清水靖晃(T,sax)ペッカー(per)の9人、最年長の向井が30歳、他のメンバーは全員が20代の若さであった。ツアーが始まった時はセッション・バンド的な部分もあったが、渡辺・坂本を中心に過激な実験音楽とポップな遊び心からなる音とバンドとしての音も完成されていく、期間限定のため活動は短期間だった、これから80年代に入る直前の日本の音楽シーンに与えたインパクトは大きかった。
「INNER WIND」この頃から渡辺のギター・ソロにロックの要素が強くなってくる、坂本のアナログ・シンセのソロも懐かしい、小原のベース・ソロは村上との長年のセッションからの掛け合いが楽しい、清水のサックス・ソロも負けじと吹いている。
「SNAP DRAGON」本多のソプラノ・サックスのソロもメロディアスで切れれも良い、渡辺のギター・ソロに続きペッカーのパーカッション・ソロからの村上のキレキレのドラム・ソロと続いていく。
「I'll Be There」坂本と矢野の共作のポップな作品。坂本、渡辺、矢野はこの後にYMOのワールド・ツアーに行く。
向井滋春 Pleasure [CD]
向井滋春は日本を代表するジャズ・トロンボーン奏者、79年に約1年間ニューヨークに在住しフュージョン・ジャズに触発を受ける。80年にリリースされた6枚目のリーダー・アルバム「Pleasure」初のニューヨーク録音が実現した。当時の向井滋春のオリジナル曲はブラジリアン・ミュージックやサルサ、レゲエ、カリプソなどのカリビアン・ミュージックを取り入れていてた曲が中心だった為にライブやレコーディングでの共演を通じて気心の知れた松岡直也にプロデューサー兼アレンジャーを依頼した。向井滋春のプレイの特徴は、リズムとの躍動感に溢れるスケールの大きいプレイを展開出来る事、特にドラマーからインスピレーションを受けてのプレイが素晴らしい、となればニューヨークのドラマーはブラジルやラテン系にも精通しているスティーブ・ガットをおいて他にはいない、他のメンバーもスティーブ・ガットと関係が深いピアニストのウォーレン・バーンハートなどが集合し、ゲストとして過去に向井が所属していたグループのリーダーでニューヨーク在住の川崎燎(g)も参加している。
「HUDSON BREEZE」徐々に盛り上がっていき、後半の向井とスティーブの迫真のインタープレイが聴ける。
「MIRAGE」ウォーレン・バーンハートのアコースティク・ピアノのソロも聴ける。
本多俊之 Burnin' Waves [CD]
78年にリリースされた本多俊之のデビュー・アルバム「Burnin' Waves」はハワイ出身の人気グループのシーウィンドとの共演、アレンジを上田力が担当して注目されたアルバムです。
本多俊之はジャズ評論家として有名な元ベーシストの本多俊夫の長男で、渡辺貞夫を追う最有力のアルト・サックス奏者として注目されるようになっていて、この時まだ現役の大学3年生の学生で、フルートを父親の手ほどきで吹き始め、日本フィルハーモニーにいた峰岸氏に正式にフルートを習い、中3からソプラノ・サックス、高1でアルト・サックスを正式に習い、高校生の頃から松本弘のグループに加わって新宿のピット・インにも出演するようになり、その後にジョージ大塚セクステットのメンバーになり豊富な経験を積み、76年に自己のカルテットを結成、この時代に作曲とアレンジを勉強し、モード手法によるものやオーソドックスなジャズを平行して演奏している。
本多のプレイは素直で音色が美しく、新人とは思えない力強さとメロディアスを兼ね備えて歌っていて、シーウィンドとのサウンドもみごとに打ち解け合っている。
このアルバムを機に自己のクロスオーバー・グループを結成し幅広い演奏活動を行うようになっていく。
「Thunderkiss」本多のオリジナルでファンキーなナンバー、本多のアルト・ソロと上田の好アレンジが光る。
「You Blow My Herat Away」上田のオリジナルで軽快なサンバ調のナンバー。
「Sao Paulo」フレンチ・ホーン奏者で現代音楽の作曲家でもあるデビッド・アムラムの作品。
CASIOPEA [CD]
THE SQUAREを紹介したので、今日はCASIOPEAです。EastWest'76に 野呂一生(g)櫻井哲夫(b)小池秀彦 (key)この後にプリズムに入る鈴木徹 (dr)のメンバーで参加、スターダストレビューの根本要は後述のコンテスト「EastWest」で一緒に出場していたカシオペアを見て、あまりの凄さにそれまで行っていたインストゥルメンタルの演奏をあきらめ、ヴォーカルバンドに方針転換したことを明かしている。EastWest'77に2年連続で参加、向谷実(key)と佐々木隆(dr)が入りデビュー時のメンバーとなり優秀グループ賞と最優秀ギタリスト賞を受賞(サザンオールスターズのボーカルの桑田佳祐が1977年ベストボーカル賞)その新人離れしたテクニックとアンサンブルと独自のポップ感覚の音楽性の完成度は絶賛され、デビューが決定し79年アルバム「CASIOPEA」をリリース、全曲ともアレンジと作曲が野呂によるもので、ゲストとしてブレッカー・ブラザースとデビット・サンボーンが参加、ホーンアレンジも深町純、ストリングス・アレンジは裕裕樹、ミキシングもジョージ・ベンソンの「ブリージン」やアル・ジャロウのレコーディングを担当しているアル・シュミットが担当している。
「Time Limit 」スリルとスピード感を売り物にしているカシオペアのカラーにピッタリの曲でホーンセクションの3人の余裕のあるソロも聴ける。
「Space Road」野呂の作曲とアレンジの才能を感じさせる曲。
「Midnight Rendezvous」この頃のライブでは最後の曲でした。
The Square LUCKY SUMMER LADY [CD]
T-SQUAREの安藤正容(G)が、引退を決断したことを表明し,毎年アルバムを発表するT-SQUAREの活動ペースにおいて「自分が足を引っ張るような形になるのは避けなければいけない」と考えたことが最大の要因だと説明。さらに安藤は「1978年にデビューして42年間、スクエアがあればこそ自分がありました。永きにわたり応援して頂き感謝にたえませんが、自分は音楽家を引退する訳ではありません」「またいつかスクエアのメンバーとステージに立つ事があるかも知れません。自分勝手な決断ではありますが、引き続きT-SQUARE alphaと共に、安藤正容の活動も応援して頂けるよう御理解頂けたら幸いです」とファンにメッセージを送っている。
THE SQUAREのファーストアルバムを紹介、ジャズ・ミュージシャンやスタジオ・ミュージシャンらで構成されていた黎明期のフュージョン界に安藤正容、御厨裕二、伊東たけし、仙波清彦、マイケル河合、宮城純子、中村裕二のメンバー全員が全くの新人として登場。
一般的にはジャズ・フュージョンのスタイルとして認知され、メディアでもそのように取り扱われているが、当人らは自身を「ポップ・インストゥルメンタル・バンド」と称している。このアルバムは78年にリリース、当時の最先端のリー・リトナーのサウンドを意識しているメロウ・フュージョン・サウンドでカーペンターズのヒット曲の「愛は夢の中に」のカヴァーなどが入っていてものでした、アルバムを出すごとに変わっていたメンバーが1982年の『脚線美の誘惑』より固定されてバンドのサウンドも決まり、87年のアルバム『TRUTH』のタイトル曲「TRUTH」がF1グランプリのテーマ曲に使用され、F1ブームの始まりとともに大ヒットを記録するまでにほぼ10年が経っています。
「LUCKY SUMMER LADY」メロウ・フュージョン・サウンド、安藤正容のギターも当時のリー・リトナーの音だし、当時の伊東たけしもフルートをよく吹いていました、まだ伊東たけし代名詞リリコン(サックスのシンセサイザー)も無い時代でした。
Kenny Loggins Return to Pooh Corner [CD]
アルバム「Return To Pooh Corner」は自分の子供に向かって歌を聴かせていたケニー・ロギンスが、そのことをヒントに作り上げた「子供たちのための作品」です、94年リリース、通算10枚目のソロ・アルバムでデヴィッド・クロスビー、グラハム・ナッシュ、エイミー・グラントがゲスト参加、グラミー賞にノミネートされてゴールドディスクを獲得しています。ポール・サイモン、リッキー・リー・ジョーンズ、ジョン・レノンの曲も取り上げています。共同プロデュースは元アンブロージアのデイヴィッド・パック、じわじわととアルバムは売れて結局ケニー・ロギンスのアルバムで一番売れることになります。その3曲目に収められた「Return To Pooh Corner」には3番目の息子のために書かれた、ほんとにとってもいい曲です。ケニー・ロギンスは「フットルース」のイメージが強いですが、ロギンス&メッシーナの時代を思い出すようなサウンドです。
Return to Pooh Corner Concert から「Return To Pooh Corner」とケニー・ロギンスとマイケル・マクドナルドが共作した名曲「What a Fool Believes」でマイケル・マクドナルドがゲストで一緒に歌っているアコースティック・バージョンです、どちらも凄く良いので是非見て下さい。
「Return To Pooh Corner」
「What a Fool Believes」
Todd Rundgren Faithful [CD]
76年にリリースされたトッド・ラングレンのソロ7作目、ソロ名義になっているが、プレイヤーのクレジットを見ると演奏はユートピアよるものである。前半は66年から67年のヒット曲をちょうど10年経ったので、トッド・ラングレンが自らの手で甦らせてみたくなったらしい、ヤード・バーズの「幻の10年」ビーチ・ボーイズの「グッド・ヴァイブレーション」ビートルズの「レイン」「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」ボブ・ディランの「我が道を行く」ジミ・ヘンドリックスの「イフ・シックス・ワズ・ナイン」の完全再現、後半はトッド・ラングレンのオリジナル・ソングで彼の素晴らしいポップ感覚を聴くことが出来る。
「Love of the Common Man」彼のレパートリーの中でも人気の高い作品で本作のベスト・トラック。
「The Verb "To Love"」トッドの甘いメロディーとドラマティックな歌唱が聴ける。
「Good Vibrations」ビーチ・ボーイズの超名曲を完コピ。
「Strawberry Fields Forever 」忠実なオリジナル・コピーぶりこそ「Faithful」の真意である。