Michael Franks Tiger in the rain [CD]
フランスの画家、アンリ・ルソーの「熱帯嵐のなかのトラ」をジャケッとに使用したアルバム「Tiger in the rain」は79年にリリースされた。その後の作品にもポール・ゴーギャンが用いられたり、歌詞にもマルク・シャガールやミケランジェロ・ブオナローティー、レオナルド・ダ・ヴィンチが登場している、マイケル・フランクスのアート通は良く知られているが、彼の音楽の作風はこうしたところにリンクしているのかもしれない。このアルバムからプロデューサーがトミー・リピューマからジョン・サイモンに変わり、さらに進化した音楽を聴かせてくれている。「Sanpaku」や「Jardin Botanico」はトミー・リピューマから踏襲したブラジリアン・サウンド、さらに「When It's Over」では贅沢にもフローラ・プリンをバック・ヴォーカルに迎え入れている、これをきっかけにマイケル・フランクスは色々なジャンルのシンガー達とデュエットをするようになる。アルバム後半の「Underneath the Apple Tree」「Tiger in the Rain」などはロン・カター(b)ケニー・バロン(p)マイク・マイニエリ(vib)らが参加し、ジャズ色が強くなる。ブラジリアン・サウンドとジャズをアルバム内で同居させ、独自のトーンで統一させたのは、ジョン・サイモンによる手腕が大きく、マイケル・フランクスのブラジル・サウンドへの傾倒ぶりを解くカギとなる重要な作品で、ターニング・ポイントとなった素晴らしいアルバムである。
「Sanpaku」
「Jardin Botanico」
「When It's Over」
「Underneath the Apple Tree」
「Tiger in the Rain」